広報担当者が失敗しがちなことワースト10(下)

6.自社にネガティブなことを話してしまう

 

記者に聞かれてもいないのに、自分の会社のネガティブな情報をわざわざ話してしまう広報担当者というのが、ときどきいるのです。ネガティブなことについて尋ねられ、記者が知っている以上のネガティブなことを話してしまう人も、このタイプに入ります。広報担当者は会社のある意味、スポークスパーソンですから、自社のポジティブな面をメディアに強調していくべきであって、ネガティブな情報をプッシュしてしまうのは失格です。このタイプは、相手に対して必要以上にサービス精神が旺盛な人か、もしくは自らの失敗や落ち度を開示することによって良い心証を得ようとする人である場合が多いのですが、動機はともかく、このような行動をとる人は、いずれも広報担当者としてはよくありません。

 

7.細かなことで記者にクレームをつける

 

記事中の事実や数字の間違いについて記者に指摘することは正しいことなのですが、必要以上に細かなことでメディアに苦情をいう広報担当者がいます。この場合、「細かなこと」とはどのようなことでしょうか?たとえば、事実上の意味は違わないのに、自社内の呼び方、表現の仕方と記事の表現、ニュアンスが違っているといって苦情をいう場合、あるいは記者が自ら調べて書いた部分なのに、自社から提供した話と違うということでクレームするといった場合などです。メディアが自分で調査して書いた部分は、ある意味、どういう書き方をしようと(客観的な事実が明白に違っていなければ)、そのメディアの勝手です。そうしたことをいちいちクレームをつけていれば、記者からは「この人は広報の職務について勉強不足だな」と思われてしまうでしょう。

 

8.記者に対して見下した態度をとる

 

最近ではこの手の広報担当者は少なくなってきましたが、「メディアは勉強不足だ」「自分のほうが偉い」もしくは「メディアは適当にあしらっておけばよい」といった考えが態度に表れている広報担当者(あるいは役員など)がいるのです。こうしたメディア対応の仕方は、自社にとって非常に損です。たしかに、メディアの質問というのは、勉強不足だったり、ピントがずれていたりすることがあるものです。けれども、それを態度に表してしまえば、権力に対抗することをモットーにしている人が多い記者のほうも、カチンときて強硬な姿勢で臨んでくることが十分にあり得ます。記者が勉強不足なのであれば、むしろサービス精神をもって、相手の知らないことを教えてあげて、感謝してもらうほうを選ぶべきです。

 

9.取材を受ける担当者に任せきり

 

広報担当者の一つの役割は、取材に答えられる社内の担当者に記者を引き合わせ、取材を円滑に行ってもらうことです。このとき、取材に慣れていない担当者に対応をすべて丸投げし、あとはなんの面倒も見ないという広報担当者がいるのですが、はたしてこれで広報担当者の役割が務まるでしょうか? しっかりした広報担当者であれば、取材に対応する人が慣れていない人であればあるほど、どのような答え方をするのかをモニターし、まずい答え方をすれば、その場で訂正を入れるようにすべきです。そこまで責任を持った広報対応こそ、広報担当の腕の見せどころなのです。

 

10.純粋な取材なのか広告・営業がセットなのかの判断がついていない

 

たとえば新聞社や出版社の場合、かつては編集(記者、編集者)と広告(営業マン)の違いが名刺を見れば一目瞭然で分かりました。ところが近年は、一見、取材記者のように見えても、純粋な取材を目的としていない社員である場合が増えています。これは、広告収入や販売収入が減少してきた新聞社や出版社がなんとか収入増の道を探るため、取材者を装って企業に近づき、広告やセミナーそのほかの収入源に結びつけようとしている表れです。取材するようなふりをしても、実際には滅多に記事化してくれることがないという場合もあります。企業にとっては日ごろ取材に来てくれない新聞社の記者(のような社員)が訪れてくれれば、ついつい喜んでしまうのも分かりますし、もちろんむげに断る必要もありませんが、収入増を図るためにそのような中途半端な存在の社員を送り込んでくるメディアの意図を理解すれば、そうそう手放しで喜んでもいられないということが分かります。(高橋眞人)

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