小池百合子氏は衆院選でなぜ敗けたのか
2017年10月に行われた衆院選は、小池百合子劇場でした。都知事の職にありながら、国政の政党である希望の党を立ち上げ、当初はかなりの議席を得るかもしれないと、自民党をも戦々恐々とさせていました。
小池旋風と呼ばれる社会的ムードも手伝い、野党第一党が確実だといわれていました。もしかすると自民党を破り、政権を奪うのではないかという予想までありました。
ところが、希望の党は小選挙区で18議席、比例代表で32議席の50議席を獲得したものの、野党第一党は54議席を獲得した立憲民主党でした。小池さんが知事を務める東京都内では、希望の党は小選挙区で1勝23敗という惨敗ぶり。
たった一言で共感を失った小池百合子氏
希望の党の、いや小池百合子さん個人の惨敗は、どうして起きたのでしょうか。
民進党と希望の党の合流で、一大勢力となるチャンスであった時期に「排除します」と発言したあたりがターニングポイントであったと思われます。「民進党の全員を受け入れるわけではない」という趣旨でした。
定例記者会見での、たった一言で小池子さんは国民からの共感を失ってしまいました。
「政治理念が異なる民進党議員は受け入れない」という意味なら、「ご遠慮願います」と、遠回しないい方をすればよかったのです。そうすれば、小池百合子さんのイメージダウンにはつながらなかったでしょう。
私が推測するに、おそらくは記者から「政治理念が違う民進党議員は、排除するということですか?」と問われて、「Yes」の意味の即答として「排除します」と答えてしまったのではないでしょうか。
メディアの取材テクニックに乗ってしまったのか
これは、取材記者がよく使う「引っかけ質問」という取材テクニックなのです。引き出したい言葉を、質問として投げかけ、それを相手に繰り返してもらうわけです。
元テレビキャスターである小池百合子さんにしてこの失態。組織のトップが、リーダーが、マスコミにどのように対応すべきなのかを考えさせられる一件でした。(浦山明俊)