fbpx

危機時に弁護士と広報専門家の両方が必要な理由

危機管理とメディア対応は密接不可分

企業に法律が関係する危機が発生したとき、普通は弁護士の意見を聞くと思います。ただし、危機発生時においては、メディア対応の成否がダメージの程度を大きく左右することがあります。危機管理とメディア対応とは、切っても切り離せない関係にあります。

メディア対応を誤れば企業の評判と業績に影響が

たとえば、あなたの会社の役員または管理職が刑法や商法の重罪で起訴され、それが報道されたとします。あなたの会社自体も、損害賠償請求訴訟の対象となっています。メディアによるセンセーショナルな企業犯罪報道は、訴訟の行方に関わらず、一連のすべての出来事が終わるまでの間に、あなたの会社の評判と業績に非常に大きな影響を与えるでしょう。

メディア対応で重要なこと

こうした場合、メディアに対してどのような対応をとるべきでしょうか。このようなときに会社が発するコメントは、影響力が小さくないものです。少なくとも、あなたの会社が問題の解決に積極的であるという第一印象を与えなくてはなりません。被害を受けた人がいれば、自社に責任があるとないとにかかわらず、その人々に対する誠実な気持ちを表す必要があります。

弁護士がメディア対応に失敗した例

私の経験でも、ある顧客企業の不祥事に際して、弁護士が「公表すべきではない」との意見を具申し、私が「マスコミが嗅ぎつけて報道する可能性があるため、事前に公表すべきだ」との意見を出したことがあります。企業は弁護士の意見を採用しましたが、結果的に報道されてしまい、その企業は「隠蔽していた」との批判を浴びてしまいました。もう一つの経験ですが、世の中からある疑惑を持たれて叩かれている有名人が、顧問弁護士とともに記者会見に臨みました。その弁護士がマスコミに対して非常に戦闘的で、「〇〇新聞はあの時、こんな記事を書いたが、大間違いだ」「真実を書かないマスコミには会見には来てもらわなくていい」などと言ったため、記者から大ブーイングされる会見となってしまいました。

弁護士はメディア対応の専門家ではない

弁護士は法律の専門家ではありますが、全員がメディア対応に精通しているわけではありません。弁護士と広報専門家は、それぞれ重視する観点が異なります。弁護士や社内の法律専門家が記者に対して不適切な対応をすることを防ぐため(また、不適切なコミュニケーション戦略を立てることを防ぐため)、チームには広報のプロを入れ、経営者は両者の意見をよく聞く必要があります。

会見のリハーサルトレーニングも重要

広報専門家と重要な情報のシェアをしておくことも、非常に重要です。事前に作成するQ&Aも、両者のチェックを受けるべきです。記者会見などで発表する場合は、事前のリハーサルトレーニングを実施し、両者からアドバイスをもらうようにすべきです。(高橋眞人)

おすすめ記事一覧

今やSNSはフェイクニュースの嵐 コミュニケーション技術が日進月歩で進化する状況にあって、SNSは今や正しい情…

インターネットなどのメディアを通じて情報(コンテンツ)を提供し、自社の周囲にファンをつくっていく考え方を「コン…

日米の謝罪をめぐる文化ギャップ 企業による謝罪の件数はここ数十年の間に激増している。これは日本だけに限らず、世…

※本記事は、2014年10月29日に高橋が掲載したブログ記事を再掲載したものです。   米大手スーパ…

かつての紙の時代の記事の見出しづくりは、熟練を積んだ職人的なスキルが必要でした。なぜなら、限られた文字数(スペ…

2018年5月6日。日本大学と関西学院大学とのアメリカンフットボールの試合で、悪質なタックルが問題になりました…

政治ニュースに頻繁に出てくる顔 アメリカのニュースやドラマなどを見ていると、ホワイトハウスの報道官という職責の…

日本の英語教育はなぜ話せるようにならないのか 昨今、英語学習に関する議論が高まっている。なぜ日本人は英語をいく…

いったいどこから手をつければいいのか 国連の持続可能な開発目標(SDGs)が2015年に始まって以来、世界19…

日本は自己批判と謙遜の文化といわれるが  アメリカと日本との間の謝罪文化の違いは、両国の歴史的・文化…

PR修士号に匹敵する米国ドラマもある 今日は広報・PR・危機管理の担当者が見ると役に立つ米国の映画・ドラマを紹…

手紙やSNS、広告でお詫びしたがるアメリカ企業 顧客の情報を流出させてしまった米国のノースウェスト準州電力公社…