「こんまり」の片づけ術はなぜアメリカ人に受けるのか

全米ベストセラー作家で、片付けのエキスパートである近藤麻理恵さんが、米CBSの人気番組「レイト・ショー」に出演し、YouTubeは1か月で140万回を超える再生回数を記録している。

日本人よりアメリカ人が「ときめく」のはなぜか

すでにNetflixでも自分の番組を持ち大ヒットしており、メジャーな番組への出演は今回が初めてではないが、「座って、まず周囲の物に感謝してお礼を言い、一つひとつ触り、自分がときめくかどうかで捨てるかどうかを決める」という、我々日本人にとって、さほど斬新とは感じないアイデアに、なぜアメリカ人がそれほど「ときめく」のか。これは実に興味深く、研究し甲斐のあるテーマだと思う。

こんまりメソッドは日本的精神に基づている

私の考えでは、 物に感謝し、自らの心に聞くという日本的な精神を自信をもって表現しているからこそ、米国人にとって新鮮に映るのだろう。 日本人が西洋的合理主義に基づく主張をしてもこれほど大受けすることはない。

ところが、日本人にとって「こんまりメソッド」はどうかというと、一定程度の読者には響くが、アメリカほどのメガヒットはしない。おそらく、日本人にとっては太古の時代から心の中に受け継いできた考え方であるため、アメリカ人ほどの斬新さを感じないのだろう。

つまり「こんまりメソッド」は、ある意味、ものに感謝し、精神のあり方をもっとも大切にするという、古神道から続いている日本的精神そのものであるからだ。

人と自然を切り離したのが西洋思想

西洋社会の考え方は、 創造主がヒトを作り、ヒトに管理されるべく自然を作ったというキリスト教の思想が土台になっている。キリスト教が自然を人間と切り離し、客体化したところに置いてしまった。そこに近代科学が発達して、完全にモノとヒトと宇宙が切り離されたといえる。これはキリスト教と同じ仲間であるイスラム教もユダヤ教も同じ。したがって、科学も哲学も論理学も含め、西洋思想はすべてその流れの上にあるといってもよい。

世界に向けた情報発信は「こんまり」の成功に学ぶべき

実はこのことは、すべてのことについて日本から世界に発信するとき、大いに参考にすべき考え方となるのではないか。ハーバードやスタンフォードで教えられているような西洋的合理主義・科学主義に基づく知識ではなく、日本的な考え方に依拠して主張をおこなうことが、世界ではむしろ尊敬を受けるということが、しばしば起きるということだ。(高橋眞人)

おすすめ記事一覧

バイトテロを完全に防ぐのはむずかしい 近年、「バイトテロ」という事象が大流行りです。時給千円程度のア…

安倍首相による8月28日の突然の辞任発表。この記者会見で首相に「お疲れ様でした」と言った記者は一人だ…

日本の英語教育はなぜ話せるようにならないのか 昨今、英語学習に関する議論が高まっている。なぜ日本人は…

ソーシャルメディア活用のルール あなたがソーシャルメディア(SNSやブログ)をマーケティングに活用す…

※グラフは、既存メディアを信頼するアメリカ人の割合の推移(アクシオスとエデルマン)。 既存メディア半…

広報活動のKPIはどうあるべきか 広報担当者にとって悩ましいのが、広報活動の効果測定です。ビジネスの…

「広報・PR稲門会」の設立総会が2019年11月16日(土)午後6時から、早稲田大学校友会サロンで開…

2018年5月6日。日本大学と関西学院大学とのアメリカンフットボールの試合で、悪質なタックルが問題に…

早稲田大学卒のマスコミ人や言論人が非常に多いことはかねてより有名ではありますが、広報、パブリックリレ…

自動車事故に当事者として遇ったとき、冷静に対処できる人と、パニクって頭が真っ白になる人の2種類いる。…

新型コロナウイルス対策のため、学校は休校になり、塾や家庭教師もほとんどが休みとなっている。これは世界…

新型コロナウイルスの席巻により世界中の多くの都市が封鎖(ロックダウン)される中、とくに感染者の増加が…