fbpx

謝るのが美徳の日本人、謝らないのが美徳のアメリカ人(5)

ジョン・ウェインは米国人にとって強い男性の象徴

アメリカ人にとって、西部劇映画の名優ジョン・ウェインは、長年にわたって、強いアメリカ人男性のシンボルであった。アメリカ人が好きな言葉の一つに「Never show them your weakness」(人に弱さを決して見せるな)というものがある。この言葉を理想化したような人物が、西部劇の中のジョン・ウェインであったといえる。アメリカでは現在、開拓時代にあったような性別による壁がきわめて低くなり、男性だけでなく女性もこの「弱さを見せるな」を共有し、「強い女性」を目指すようになっている。

アメリカでは謝罪は法的責任を意味する

日米間の謝罪をめぐる文化的差異について、カリフォルニア大学や筑波大学などで文化人類学の教授を務めた我妻洋らは、「Law and Society Review」という学会誌に投稿した論文で、以下のような含蓄のある指摘をしている。

アメリカ人は自律と内的一貫性を個人としても司法的にも重視し、それゆえ、謝罪を自己の表現手段として重く見る。そのため、謝罪という行為は、自己の正当化もしくは自身に法的責任があることを認めることにつながる。これに対して、日本人にとっての謝罪とは、主には集団の序列と調和を確認する行為である。損害補償の問題にはさほど大きな関心は払われず、代わりに組織同士の損なわれた関係を修復すること、あるいは損失を与えた個人とかく乱された社会秩序との間の関係を修復することに大きな関心が払われる。

北米では自己を強く見せることが必要と考える

   他方、北米(アメリカとカナダ)と日本の間の謝罪文化の違いに関して、コミュニケーション学を専門とするハワイ大学のハイ=ユン・リー准教授らは以下のように述べている。

北米の人々は、自己を強く大きく見せることが重要と考えている。自身を強く見せること、自身の良い面を見せていくことが必要という考え方が、日本よりも北米のほうに広く行き渡っている。北米の人々にとっては、自尊心が低かったり、自己のマイナス面を認めてしまったりすることは、適切な行動ではないのである。したがって、謝罪を通じて個人の失敗を公に認めることは、避けるべきことなのだ。これと対照的に、東アジアの人々は自己批判志向、自己向上志向であろうと努める。日本人は一般的に、自分たちが生まれつき不完全な存在であり、そのために不断の努力をもって自身を向上させなければならないと考えている。

この指摘にもあるように、北米の人々は自身を強く見せることに大きな価値を置くが、日本人を含む東アジアの人々は、自己批判的、内省的な行動文化を持っているといえる。(高橋眞人)

おすすめ記事一覧

私用メール問題で謝罪を拒否し続けたヒラリー・クリントン  オバマ政権で国務長官を務めた元弁護士のヒラリー・クリ…

情報漏洩はなぜ起こるのか 多くの企業にとって、情報漏洩は大きなクライシスにつながる可能性があります。いったん大…

入院でダウンした東京電力の清水社長  企業による謝罪の失敗例は、近年も枚挙にいとまがないほどある。2011年の…

高まる企業の危機管理の重要性 昨年も、日本大学、財務省、文部科学省、東京医科大学、スルガ銀行、日本ボクシング連…

誠意のある「謝罪文」は日本独自の文化  日本では長い間、ルールを破った者は、公の刑に服す代わりに謝罪文を書き、…

広報担当からオンラインニュースルーム運営へ オンラインニュースルームとは、企業のウェブサイトや特設サイト、SN…

欧米では人気のパブリックリレーションズ専攻 欧米の大学では、多くの学生がパブリックリレーションズ(PR=広報学…

ギリシャ修辞学に始まる西洋コミュニケーション文化 儒教などの東洋文化に強い影響を受けた日本とは対照的に、西洋世…

国内SNS利用者は7500万人を突破 諸々の問題を含みつつも、フェイスブック、ツイッター、LINE、YouTu…

世界が求めているものは「ストーリー」 いまや人々が求めているものは「ストーリー」です。マーケティングにもPRに…

早稲田大学卒のマスコミ人や言論人が非常に多いことはかねてより有名ではありますが、広報、パブリックリレーションに…

多くの職場には、20代から60代に至る幅広い世代の社員・スタッフが混在しているものです。こうした多様性のある従…