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謝るのが美徳の日本人、謝らないのが美徳のアメリカ人(19)

パブリック・リレーションの観点から見た謝罪の役割の違い

 これまで日米の謝罪文化の違いの背景には、文化的・歴史的な原因と、司法・行政制度的な原因があることを述べてきた。実はもう一つ、広報上の必要性から両国の考え方が異なっている可能性がある。

 トヨタ自動車のチーフ・コミュニケーション・オフィサーであるジュリー・ハンプ取締役が違法な日本への麻薬持ち込みの容疑で逮捕されると、豊田章夫社長は間髪を入れず記者会見を開き、謝罪した。この謝罪は、非常に素早いタイミングで、企業トップである豊田社長によって行われたことで、成功を収めたと見る評論家がいる。また2015年6月15日には、東芝の田中久雄社長が同社の経理不正が証券開始委員会に指摘されたについて記者会見で謝罪した。田中社長は同社の株主に対しても「心より深くお詫び申し上げます」と頭を下げた。

広報・危機管理の専門家が誠実な謝罪を助言する

 日本の危機管理の専門家は、企業幹部に対し、不祥事や事故が起きれば、まずは緊急記者会見を開き、社長から誠実なお詫びを行うことを助言する。東京商工会議所『クライシス・コミュニケーションが見る見るわかる』には次のように書いてある。

 謝罪会見が始まる前に記者に配布するステートメントに、以下の5つの要素を盛り込まなくてはならない: (1)明確な謝罪の表現、(2)不祥事・事故の原因または組織としての原因追及の決意、(3)具体的な再発防止策、(4)必要な情報の開示、(5)自社が社会的・倫理的な責任を感じていること—である。

米国人は謝罪することで「企業の評判が下がる」と考える

 ところが、アメリカではどうか。米ウェストチェスター大学のエドワード・ローダン教授(コミュニケーション学)は「アメリカの企業幹部たちは一般に、企業による謝罪はその後の法的な責任につながり、その企業の弱さの表れと考えている。しかし、この考え方は、企業の評判を下げることにもつながる」と述べている。このように、日本とアメリカでは、パブリック・リレーション(広報)の視点からも、企業の謝罪についての考え方が異なっているといえそうだ。(高橋眞人)

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