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謝るのが美徳の日本人、謝らないのが美徳のアメリカ人(22)

入院でダウンした東京電力の清水社長

 企業による謝罪の失敗例は、近年も枚挙にいとまがないほどある。2011年の大津波による福島第一原子力発電所の事故発生を受けて、清水正孝社長は3月13日に記者会見を開き、放射性物質の漏洩を謝罪した。事故の原因については「津波が一番の問題だ。想定を超える水準だった」と語った。これに対し、枝野幸男官房長官は記者会見で、個人的な見解と断ったうえで、「東京電力の損害賠償に安易な免責措置はあり得ない」などと述べ、東電の賠償責任は不可避との認識を示した。

 しかし清水社長はその後、姿を見せなくなり、この間めまいや高血圧で入院したこともあり、公の場に再び姿を見せたのは事故から1か月後の4月11日であった。清水社長が長期間、姿を見せなかったことについて、米紙「ワシントン・ポスト」は「経営者が雲隠れ」と批判したほか、国内メデイアからも「経営者の顔が見えない」と批判が上がった。

「人生を取り戻したい」とつぶやいたBPのCEO

 英石油会社BPによる石油流出で、米国のメキシコ湾が汚染された事故の後、同社のトニー・ヘイワードCEOは「人生を取り戻したい」とつぶやいたことが報道され、これを見た、油田で働いていて事故で死亡した従業員11人の遺族らはCEOの薄情さに激怒した。

7か月も会見を開かなかったタカタ

 企業トップは、難局に当たっては対外的なスポークスパーソンにならなくてはならない。しかし、タカタの高田茂久社長は、同社が米国家道路交通安全局(NHTSA)に7千万ドルの罰金を支払うことで合意してから7か月もの間、会見を開かなかったため批判を浴びた。

 世界最大の自動車メーカートヨタでさえ、2009-2010年にかけて起きた大規模リコールに関する社長の公的謝罪が遅かったとして非難された。トヨタの豊田章夫社長は2010年2月5日、顧客に不安を与えたことについて初めて謝罪した。豊田社長の謝罪は、アメリカで最初のリコールを発表してから2か月も経過していた。

日本でとりわけ重要な不祥事会見の訓練

 これまで旭化成や東京電力、BP、タカタ、そしてトヨタの事例などで見てきたように、下手な謝罪は状況を悪化させる。謝罪の形式や段取りが細かく要求される日本では、多くの大企業幹部が謝罪会見のトレーニングを受講し、どのように謝罪会見でお詫びを言い、頭を下げ、メディアからの質問に答えればよいかを学んでいるが、その重要性がとりわけ日本で大きいことには、文化的、歴史的、法制度的理由がある。

謝罪の文化は世界どこでも同じではない

 謝罪という行為は世界中どこででも見られるが、謝罪をめぐる文化はその機能や使い方という点で異なっている。たとえば日本人はアメリカ人よりも頻繁に謝罪する。この現象は、自己を尊重する程度の違いによって説明され得る。アメリカ人は自己強化志向が非常に強いため、自己を肯定的にとらえようとする。アメリカ人にとって、自尊心が低いことや自身の短所を認めることは適当ではないと考えられている。

 「アイム・ソーリー」 と言うことは、自身に100%の責任があることを認めることを意味する。 米国の著名歌手エルトン・ジョンの作品にも 「Sorry Seems To Be The Hardest Word」(「ソーリー」と言うのがいちばんむずかしい)という歌がある。 その結果として、アメリカ人は公に謝罪することを通じて個人の過失を認めることを避けようとするのである。

「人間は不完全な存在」と考える日本人

 これに対して、日本人は自分自身が本来不完全な存在であると考えており、そのために自己批判的な態度をとろうとする。日本人の謝罪は、自己卑下をしたがる日本人の性質を反映している。加えて、日本においては、紛争当事者の双方が互いに謝れば、補償金額の相談もまとまりやすいと考えられている。謝罪が紛争を解決する重要な要素となっているという分析が当てはまるのは、日本人に限ったことではないが、日本人はアメリカ人と比べて、より直接的でよりはっきりした謝罪の仕方を好むとはいえる。  (完)

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