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謝るのが美徳の日本人、謝らないのが美徳のアメリカ人(番外中国編②)

中国人は謝らない

 中国人は滅多に謝らない。そうすると、必然的に喧嘩や言い争いが多くなる。街でも相手に指差しし合って、大声で罵り合うカップルがいる。しかも、それが決して珍しくない。ビジネス上でも当然、この文化が持ち込まれる。

日本人がきわめて注意すべき中国人への謝罪

 日本人は和を保つため、またコミュニケーションをスムーズにするため、自分の責任が半分しかなくても、いやほとんど責任がない場合でも、相手に謝ろうとする傾向がある。しかし、相手が中国人である場合、一度謝ってしまえば、「それ見たことか」と逆によってたかって激しく非難されることになる。この点は、日本人が中国人とビジネスをおこなうとき、外交をおこなうとき、十分に気を付けなければならない点であろう。

「水に落ちた犬を打つ」ということわざは、もともと中国の偉大な文豪、魯迅が評論の中で書いた言葉である。そして、その意味は「もし人を咬む犬であれば、水の中に落ちたとしても、さらに叩くのは正しいことだ」である。

日本の謝罪文化を理解しづらい中国人

 香港フェニックステレビ東京支局の李支局長が中国のSNSである微博(ウェイボー)に番組の映像をアップすると、中国語圏の方々も大きな関心を持ったようで、20万回再生されただけでなく(衛星視聴は全世界で数億人に上るはずである)、多くのコメントが寄せられていた。たとえばこのようなコメントである。「(日本の謝罪会見は)偽善的なパフォーマンスだ」「表面的には素晴らしいスキルだとは思う」「中国は謝罪されるのが好きな国なんだ」(笑)。ここから分かることは、中国人は「日本の謝罪は表面的に過ぎず、偽善に見えてしまう」と感じる人が多く、なかなか日本の謝罪文化を深く理解することがむずかしいようだと言える。

中国人にとっての「謝罪」は苛烈な責任を意味する

 中国人にとっての「謝罪」は、ある意味、きわめて厳しい意味を持っているといわれる。中国圏では、その事故・事件から生じた責任、賠償をすべて負う覚悟がなければ、謝罪してはいけないのである。自身の過失を認める謝罪であれば、辞職や左遷処分を余儀なくされる可能性がある。

 日本では謝罪した人に対して、ある程度寛容な態度を取ることが慣例となっているが、中国では、一度謝罪すれば、その人に対してむしろ厳しくあたる面がある。それゆえ、中国人は頑として謝らない。日本人から見れば、筋の通らない言い訳をしても、どうしても謝罪を避けようとする。非を認めると、どのような責任を取らされるかわからないためだ。中国人が謝罪せず、言い訳に終始するのは、やむにやまれぬ一種の自衛手段だともいえる。

儒教伝来の前に日本の「和」の文化は成立していた

 そこで、連載をずっと読んでこられた読者の方は一つ疑問に思われることがあるかもしれない。中国も東洋にある儒教の国なのに、なぜこれほどまでにコミュニケーション文化が日本と異なるのか。

「仁」(思いやり)と「義」(正義)を最高の徳目とする孔子の儒教が日本に伝わったのは6世紀とされる。武士道がもっとも影響を受けた王陽明の陽明学にいたっては、15~16世紀以降である。一方、聖徳太子の手による「十七条の憲法」は西暦604年に公布された。「十七条の憲法」は、日本国家として初めて道徳的規範を集成し、お触れを出したものだ。日本の神道に儒教、仏教、法家、道教の思想が習合されているとされるが、第一条から「和を以て貴しとなす」と述べて人々の和合を最重要視しており、その実は、きわめて日本的な道徳文化である。つまり、「謝罪」を通じて社会の和を保つという文化は、中国や朝鮮半島に影響されてそうなったものではなく、もともと日本に備わっていた独自の文化であり、国家永続のための知恵であるともいえそうだ。

 さらに言えば、中国に残存していた儒教や仏教や道教は、共産主義と相容れないとされ、文化大革命期に弾圧、排除された。その結果、それらの文化はほぼ断絶し、日本人の文化との距離がさらに遠くなったものと考えられる。(高橋 眞人)

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