SNSのプロフィール写真にどんな画像を使うべきか

 フェイスブックなどSNSのプロフィール写真には、どんな写真を使うべきでしょうか?

写真を見てその人の印象を形成する

 SNSを使う習慣のある人は、毎日、何十人ものプロフィール写真を見ていることでしょう。人は、プロフィール写真を見ることによって、その人の印象を形成します。人はプロフィール写真を見た瞬間に、その人物に好意を持つか、信頼できそうか、関心を持てそうかを決めています。

 米プリンストン大学の心理学教授らが千人を対象に調査したところ、ほとんどの人は、だれかのプロフィール写真を見て0.1秒以内にその人についての最初の印象を形成していたということです。

 反対に、名前を見ただけでは、その人の印象を形づくることはできません。職業や趣味が書かれていれば、ある程度の推量ができますが、写真が持つ情報量には到底かないません。人間の脳は、ほかの人の顔を見ることによって、その人を判断する仕組みを遺伝的に受け継いでいます。

 米国の研究によれば、テキストによるプロフィール情報は、初めての人の印象の10%だけにしか影響を与えていなかったそうです。

顔写真は個人ブランディングのキーコンテンツ

 その意味で、プロフィール写真というのは、あなた個人のブランディングのキーコンテンツだといえるでしょう。そして、それはオンライン上のネットワーキングにとどまらず、仕事を得る機会や、最終的には長期のキャリア形成にも影響を与えると指摘されています。

半数近くは自分の顔写真を使っていない

 顔写真を使うこと。これは写真からあなたを印象づけるために、最低限の条件です。SNS発祥の地である米国をはじめとする欧米人は、ほとんどの人が自分の顔写真を出しています。ツイッターなどは匿名性を認めていますが、実名主義のフェイスブックでは、自身が写った写真を使うことを推奨しています。マーク・ザッカーバーグが最初にフェイスブックをつくったときは、自分の顔写真の使用を義務付けていたようです。

 それでも、日本では自分の顔出しを避けて、ペットや風景やキャラクターの写真を貼っている人が結構多いですね。ある調査によると、日本人の半数近くは自分の写真を使っていないようです。私の見たところ、中国人も日本人と似た傾向かもしれません。

情報量がないと個人ブランディングにならない

 私は皆さんに無理強いしたり、とやかく言ったりする立場にありませんので、一般論として申し上げます。自分の顔を出さないということは、個人のブランディングにとっては、与える情報量が少なすぎるでしょう。また、写真を出しても、全体と比べて顔が小さすぎれば、あるいは子供時代の写真であったりすれば、情報量が少なすぎ、あなたの印象を形成することがむずかしいでしょう。

 あなたの顔を見せるのが目的だとするなら、背景は単色などシンプルにするのがよいと一般的に言われていますが、 あなたの専門領域に関連する写真にすれば、あなたのビジネスのカテゴリーを際立たせるために非常に有効なツールとなります。

 また、あなたの趣味が登山であれば、岩山を背景にするという演出もよいでしょう。趣味をしている自分の写真を出している人は、「最高に人生が充実している人」だと心理専門家も分析しています。

笑顔の写真と満足度は相関している

 プロフィール写真が笑顔であることは、あなたが友人たちと、あるいは社会と良い関係があることを印象づけます。米国の研究者が大学生を対象に調査したところ、学生たちの大学の初学期のフェイスブックのプロフィール写真の笑顔である度合いが高かった人ほど、卒業から3年後の人生に対する満足度(自己申告)も高かったそうです。

フィルターをかけたり露出オーバーにしない

 インスタグラマーなどの間では、フィルタが流行しているかもしれませんが、個人のブランディングのためのプロフィール写真には適していません。露出や彩度、コントラストをかけ過ぎたり、暗すぎる写真も適していません。

自分を出すか出さないかは自己肯定感と関係している

 心理専門家の分析では、自分の写真をオープンにするかどうかは、自己肯定感と大いに関係があるようです。米国人のほうが日本人より自己肯定感が総じて高い。つまり、現状に満足している人が多いということです。一方、日本人は、現在の自分や自分の人生に不満を持っている人が相対的に多いということだと思います。これはさまざまな意識調査、国民性調査の結果とも合致しています。

 また、米国やカナダでは、学校で毎年毎年、プロカメラマンによる生徒全員のプロフィール写真の撮影を行う習慣があり、思い切りの笑顔で写真に映ることが、子供の頃から「ほぼ義務」として習慣づいています。

自分を出さない日本の伝統的文化に原因も 

 日本では、北米とは異なり、個人として目立つことを避ける、自分の色を出さず集団の中に溶け込むことを重視する、知らない人との接触を避ける、といった伝統的な国民性があります。この辺りも、「顔出しNG」と大いに関係していそうです。実名と本人の顔写真、実社会でのプロフィールの登録が義務づけられているフェイスブックの普及が日本で遅れた原因について、「匿名やハンドルネームが好きで個人情報の漏洩に対する不安や、何かとコンプレックスのあるシャイな日本人にとって不向きだった」との指摘もあります。

 そう言えば、私の母親も、「波風を立てず、目立たず、平穏に、サラリーマンをして生きていくのがいいのよ」と時々、言っていました。それなのに、私はなんでこんなふうになってしまったのか (笑)。(高橋眞人)

おすすめ記事一覧

企業がその評判や事業の継続、そして収益に影響する恐れのある危機に直面すると、日頃の業務とはまったく異…

日本の職場における「多様性」(ダイバーシティ)という場合、まずは男女共同参画と、世代(ジェネレーショ…

机の上を見ると、人間のタイプが結構わかる。まあちょっと聞いてください。 「山積み」タイプは情報量が多…

インターネットなどのメディアを通じて情報(コンテンツ)を提供し、自社の周囲にファンをつくっていく考え…

広報活動のKPIはどうあるべきか 広報担当者にとって悩ましいのが、広報活動の効果測定です。ビジネスの…

世界が求めているものは「ストーリー」 いまや人々が求めているものは「ストーリー」です。マーケティング…

プレスリリースがつまらないといわれたことがありませんか? きょうは、読まれるための魅力が薄れてきてい…

成功するシティセールスのコツとは PR・マーケティングの講演のため、先月、秋田県湯沢市まで一泊で行っ…

プレスリリースに「新たな」「新しい」を安易に使っていないか メディアは一般的に「新しい」「新たな」と…

手軽に低コストに消費者に浸透することができるSNSを使ったマーケティングは、中小企業やスタートアップ…

株式会社コミコンでは、発達障害のお子さんたちに手を差し延べる専門職である「巡回相談員」に関する日本で…

※本記事は、2014年10月19日に高橋がブログに掲載した記事を再掲載したものです。 自らの看護師2…