警官のカップに「豚」~突然の危機にどう対処すべきか
警官のカップに「PIG(豚)」と打ち込んでしまった
2019年11月28日(感謝祭の日)、米国オクラホマ州のスターバックス店舗に地元の警察官が入店したところ、彼のカップに店舗スタッフが(よほど警官が嫌いだったのでしょう)「豚(PIG)」という目印をラベルに打ち込んでしまいました。
後からこれを聞いて怒ったキーファー警察署長が「PIG」という印字の入ったカップの写真を付けてSNSに投稿したため、ネット上で炎上します。
企業として、この事態を事前に防ぐことが可能だったでしょうか?
危機は突然襲ってくる
危機は突然、勃発します。危機管理の手順などについて研修やリマインドを行うことは重要ですが、この手の危機をすべて事前に防ぐことはできません。企業としてなすべきことは、危機が突然襲ってくる瞬間に備えることです。
危機の種類を定義し対処に備えておく
組織に影響を与えるすべての危機を予め予測することはできませんが、さまざまな危機の種類を予測しておくことは現実的です。従業員の不正行為、自然災害、サプライチェーンの中断、予期しない訴訟等々・・・。
危機管理チームを訓練しておくこと
潜在的な危機が発生する前に、準備をすることです。組織に影響を与える可能性のある問題の種類を把握し、それに対処する計画を立て、危機管理チームが訓練されていることを確認します。そして、一つのシナリオに収まり切らない現実の状況に臨機応変に対処する訓練を行います。
即座に謝罪のステートメントを出したスターバックス
スターバックスは、従業員による予測不可能な不正な行為、不適切な行為が起こることに備えていました。こうした危機管理の準備体制は、対応の速度と質に表れてきます。スターバックスの広報責任者は、即座にネット上で声明(ステートメント)を出しました。
「これは絶対に受け入れられないことです」
「これは絶対に受け入れられないことです。ご不快な思いをさせた警察官の方に深くお詫びを申し上げます。また、当社として警察官の方に直接謝罪を行い、キーファー警察署の署長とも連絡を取り、お詫びさせていただきました。カップに不快な言葉を書いたスターバックスの従業員は、判断力に乏しく、当社のポリシーに違反したため、もはや従業員ではありません。
今回の言葉は、すべての警察関係者の方々にとって不快なものであり、地域を安全に保つために絶えず努力をしていただいている警察官に対して示すべき感謝がありませんでした」。
お陰で警察との協力関係が深まることに
その結果、スターバックスとキーファー警察署は迅速な電話協議と調整を行い、同署は翌日、以下のステートメントを発表しました。
「コミュニケーションの向上を促進する機会に」
「スターバックスとキーファー警察署は、今回の残念な出来事を、コミュニケーションの向上を促進する機会として活用することに取り組んでいます。近日中に、スターバックスはキーファー警察署と会議を行い、互いに協力し合っていくための議論を開始します。これには、地元の警察署が同社のバリスタや地域住民と会い、重要な事柄を話し合うスターバックス店舗でのコーヒー付きのタウンイベントも含まれます。こうした取り組みは、私たちのコミュニティを安全に保つ上で重要なことです。
当警察署はスターバックスと協力して、警察に対する理解と尊敬を促進するため、スターバックス従業員向けの教育も共同で実施していくことになります」。 (高橋眞人)