ソーシャルメディアマーケティング:2020年以降のトレンド
国内SNS利用者は7500万人を突破
諸々の問題を含みつつも、フェイスブック、ツイッター、LINE、YouTube、インスタグラムなどのソーシャルメディア(SNS)がますます伸長していくのは間違いありません。国内におけるSNSの利用者数は、7500万人を突破しています。この勢いは止めることができません。
SNSのユーザー数、利用時間はますます伸びる
2019年2月のHootsuiteの調査では、日本におけるソーシャルメディアのアクティブユーザー数を人口比で見ると61%と世界平均より多い一方、一日あたりの利用時間は36分と、世界平均の2時間16分(最新は2時間22分)と比べて大幅に少なくなっています。今後もますます、写真を見たり、YouTubeを視聴したり、ニュースフィードをスクロールしたりするのに割く時間が増えていくと予想されます。
この記事では、2020年に兆候が現れると予想されるソーシャルメディアのトレンドをいくつかご紹介し、それが私たちの生活をどのように変えるかについてご説明します。
(1)インスタグラムが主要なソーシャルメディアに昇格
インスタグラムは、すでにソーシャルメディアのメインプレーヤーになってきています。インスタグラムのユーザー数は昨年6月に3,300万人を記録し、商品の購入決定に与える影響を考えると、決して無視することができない数になってきています。このため、世界では多くの企業がマーケティング戦略にインスタグラム上のインフルエンサー戦略を取り入れるようになっています。
ただし、インスタグラムの重要な機能の一つである「いいね!」がまもなく廃止されるかもしれません。これまで「いいね!」の数が投稿者の評価に結び付く傾向があり、これがユーザーの精神的健康に悪影響を及ぼす懸念があるためだということです。
インスタグラムのアダム・モッセーリCEOは、「いいね!」の数ではなく、投稿されたコンテンツに焦点を移してほしいと語っています。この変更により、ユーザーが社会的プレッシャーに影響を受けることなく、自由に意見やアイデアを表現できるようになると期待されています。変更が先行的に導入されるのは、日本、ブラジル、カナダ、オーストラリア、イタリア、ニュージーランド、アイルランドだそうです。
(2)インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーマーケティングは、取り立てて奇異な戦略ではありません。今日では、多くの企業がソーシャルメディアのインフルエンサーと協業して、製品のプロモーションをおこなっています。2020年以降、ほぼすべてのソーシャルネットワークでその影響力がますます拡大すると予想されることから、より多くの企業がインフルエンサーマーケティングに投資することになりそうです。そのコストは、大抵の場合はネット広告より安く実施できます。
その結果、企業のマーケティングがソーシャルメディアのインフルエンサーに頼る比重がますます上昇していくでしょう。マーケティング担当者は、広い対象に大きな影響力を持つ少数のインフルエンサーとのコラボレーションを追求するだけでなく、狭い対象に影響力を持つマイクロインフルエンサーとのネットワークを求めていくことになる可能性が高いでしょう。
(3)プライバシー流出の懸念が軽減
ソーシャルメディアの利用と切っても切れない不安が、ユーザーの個人情報を守れるのかという疑問です。しかし、この問題は概ね解決に向かって進んでいると考えられています。ソーシャルメディアのプラットフォームやそのほかの関係者が、安全なセキュリティシステムの開発のため真剣に努力しているためです。その最前線にいるのは、これまで繰り返しセキュリティの問題を指摘されてきたフェイスブックです。
(4)フェイクニュースの規制
もう一つの懸念材料は、ソーシャルメディアによって伝播されるフェイクニュースです。ディープフェイクなどの新技術の登場により、フェイクニュースに遭遇する頻度が高まっています。場合により、不要な政治的緊張を高め、社会にマイナスの影響を与える可能性も指摘されています。
ただし、この問題もいずれ解決に向かう方向が出てきています。米国では2020年にソーシャルメディアのフェイクニュースを制限する法整備がおこなわれるとの観測で、これがさらに世界に広がっていくと予想されます。(高橋眞人)