職場として感染症の大流行に備える対策を考える
来るべきパンデミックにどう備えるか
新型コロナウイルスがあっという間に世界に拡散し、間もなく感染者は8万人、死亡者は3千人に達しようとしています。日本でも今後さらに拡大する可能性が高いと見込まれています。こうした状況の中で、企業は来るべきパンデミック(感染症の世界的大流行)にどのように備えればよいでしょうか?
事前の対策、指針づくりが重要
一部の国際的大企業は、自然災害やパンデミックに対処するための危機管理ガイドラインを設けていますが、普通の企業にはそのような立派なマニュアルは存在しません。しかしながら、会社は、従業員が自分で実施できる予防策を含む正確な情報と会社としての姿勢を従業員に明確に伝える必要があります。さらに、この流行がより広範かつ深刻に発展した場合、どのような対処をとるのかを予め検討しておくべきです。同時に、企業経営は継続されなければなりません。
米CDCのガイドラインが参考となる
米疾病管理予防センター(CDC)は数年前、職場がインフルエンザのパンデミックに対処するためのガイドラインを作成しています。このうち、どれだけ現在の新型コロナウイルスに当てはまるかを確認するには時期尚早ですが、いくつかの原則が当てはまることは間違いありません。
感染予防のための対策
・換気システム・空気清浄機の強化
・消毒液、マスクの提供(家族分も提供するとなおよい)、タッチフリーのごみ箱
・ドアノブ、ドア、手すり、スイッチ等の適宜消毒
・時差出勤、乗用車出勤を認めるか
・在宅勤務(リモートワーク)をどこまで許可するか
・社員が在宅勤務できるようにシステムが整っているか
・在宅勤務のシステム全般をマネージする責任者がいるか
・在宅勤務者の上司(管理職)に従業員管理の方法を研修・指示できるか
・在宅勤務時の経費(電話代、プリント代、WiFi代など)の扱いをどうするか
・人との物理的接触(握手など)や大人数の会議・イベント、訪問の回避
・メール、電話、ビデオ会議システム(スカイプ、ズーム等)の活用
・社内で急病人が出たときの対処方法(だれがどの医療機関に連れていくなど)
・感染が確認されていないが具合が悪い社員をどう扱うか
社員に感染者が出たときの対策
・感染者に入院、通院または自宅待機を命じる
・オフィスまたは部署を閉鎖して、周囲の全員を自宅待機または自宅勤務させられるか
・感染者と同じ部署(部屋)の全員に検査を義務付けるか。その場合、検査料を会社が支払うか。
・在宅で勤務できない社員に特別有給休暇を与えるか
・あるいは代替オフィスを用意できるか
・レンタルオフィス・シェアオフィス等の利用を認めるか
・子弟の学校が閉鎖された場合、社員を自宅勤務または有給休暇にできるか
(高橋眞人)