世界26億人が対象となっている都市封鎖(ロックダウン)とはなにか?

「ロックダウン」とはどういう意味?

英語の「ロックダウン」とは「封鎖、封じ込め」という意味です。ロック(lock)は「鍵をかける」「閉じ込める」。ダウン(down)と併せたロックダウン(lockdown)は「緊急時に安全のため建物の出入りをできないようにする措置」という意味で、19世紀から使われているようです。

アメリカのドラマでも、FBIやCIAなどのビルから犯人が逃亡しようとすると、必ず「すぐにロックダウンしろ!(ビルを封鎖しろ)」と叫んでいます。

イギリス東部のリゾート地クローマーで2017年に暴動が発生し、すべての店舗が閉鎖されました。これは商店での盗難やパブ・レストンでの無秩序な行動から地元企業を守るためでした。これも「ロックダウン」です。

刑務所で暴動などが起きた後、囚人を独房などに閉じ込めることも「ロックダウン」と呼ばれます。

都市全体を「封じ込め」する

現在では、これが転じて「都市封鎖」という意味にも使われています。基本的には、この言葉は「すべての商店を閉める」ことを意味しますが、その都市からの出入りをできなくする(つまり、その都市自体を封じ込める)という意味を併せ持ちます。いずれにしても、日本の場合は強制的措置はむずかしく、「要請」や「自粛の要請」となる可能性が高いです。

人間の外出を禁じる「外出禁止令」は、英語ではカーフュー(curfew)と呼ばれ、一応、別の概念です。

世界人口の3分の1が「都市封鎖」の対象

現在、各国の都市封鎖の形は、完全な封鎖から移動制限、商店・オフィスの閉鎖までさまざまですが、世界で都市封鎖の対象となっている人々は26億人に上り、世界人口の約3分の1に相当。その数は第二次世界大戦時の世界人口を上回っています。

以下に世界各地の状況を見ていきます。

【米カリフォルニア州】

州知事から州全体の4千万人を対象に「自宅待機命令」が出されました。

【米ニューヨーク市】

ニューヨーク市は3月15日、マンハッタン島で、企業活動とイベントの停止を指示しました。平日の中心部でも人の姿がごくまばらとなっています。

【アルゼンチン】

3月31日まで、ほぼ外出禁止です。

【オーストラリア】

企業活動を停止させ、保護者に対して子供が学校に行かない選択肢を与えました。

【ベルギー】

ほぼ外出禁止で、ロックダウンは少なくとも5月中旬まで続くと予想されています。

【中国(武漢)】

ほぼ外出禁止。報道によると、封鎖は4月8日に解除される予定。同じ湖北省の他16都市は3月25日に封鎖が解除されました。

【コロンビア】

人の移動制限は4月11日までですが、5月末まで自宅にいるように求めています。

【デンマーク】

10人を超える集まりは禁止され、学校、図書館、レストラン、その他の企業も閉鎖されています。

【フランス】

少なくとも3月末まで、ほぼ外出禁止となっています。

【ドイツ】

16の州では、企業や公共の集まりが制限されています。バイエルン州はさらに厳しく、理由なしに市民が外出することを少なくとも4月4日まで禁じています。

【インド】

少なくとも4月21日まで、外出禁止です。

【イタリア】

全国的な封鎖は、ほぼすべての社会生活に影響を与えています。

【ニュージーランド】

少なくとも4月末まで自宅待機するように要請しました。

【スペイン】

3月28日まで完全に封鎖されていましたが、延期・拡大の可能性があります。

【英国】

必要なことを除いて外出しないよう要請しました。

【アメリカ全体】

州ごと、市ごとに各地で封鎖が実施されています。(高橋眞人)

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