世界中のジャーナリストがコロナ禍による精神的ダメージで不調を訴えている

米国では最近、「テキサストリビューン」紙の元編集長や「ワイアド」誌の編集者など、多くの著名ジャーナリストが「燃え尽き症候群」のために退職しました。新型コロナ報道が長期化する影響で、メディア企業で極度に疲労して意欲を失う「燃え尽き症候群」に陥っている人が増えており、深刻な問題となっています。

ジャーナリストの52%が今年になって燃え尽き症候群を発症

求人サイト「インディード」の調査によれば、回答したジャーナリストの実に52%以上が今年(2021年)に入ってから「燃え尽き症候群」を経験していました。その原因は、新型コロナのパンデミックを中心に、選挙や警察への抗議デモなど、この1年以上、ストレスが多いニュース取材に無限に付き合わされてきたことだといいます。その結果、一部のジャーナリストは休職を余儀なくされています。

世界のジャーナリストの8割以上「負の心理的影響受けた」

一方、国際ジャーナリストセンター(ICFJ) はコロンビア大学と協力し、世界125か国のジャーナリスト計1406人を対象に調査を実施しました。その結果、回答者の80%以上が、不安や燃え尽き症候群、睡眠困難、無力感など、何らかのネガティブな心理的影響があったと回答しました。その一方で、回答者の70%以上は「雇用主は柔軟な勤務時間、休暇、社会的支援、定期的な検査などを提供しなかった」と回答しています。45%は「出社を求められても、マスクさえ提供されなかった」と回答しています。

メデイア企業の従業員サポートは十分ではない

研究チームのエミリー・ベル氏らは「この調査結果は、ジャーナリストがパンデミックの最中、経済的、肉体的、心理的に厳しいプレッシャーの中で働いていることを示している。これは多くのジャーナリストがこれまでに経験した中でも最も長く困難な時代となるだろう。しかし、世界的にメディア関係者が健康の危機に晒される中、メディア企業のサポートは十分とは言えない」と語っています。

さらに、回答者の5人に1 人は、オンラインでの嫌がらせや反論が新型コロナ以前よりも「はるかに悪化した」と回答。回答者の48%は、マスコミと話すことが取材源の人物の失業や法的問題につながるのではないかと懸念している」と回答。さまざまなストレスが増えていることが浮き彫りになりました。

コロナ禍でメディア関係者は極度に疲労している

また、米ケンタッキー大学がテレビジャーナリスト約2千人を対象に調査したところ、93%が新型コロナに関連する記事を取り上げたことがある一方、セルフケアの点数が大幅に低下していました。「ジャーナリストのセルフケアとコロナ報道との間には相関関係がある可能性がある。パンデミックにより予算や人員が削減され、ジャーナリストらが極度に疲労しているのではないか」と分析しています。実際、地方のメディア企業でレイオフが相次いでおり、WhatsAppグループでは誤報が拡散する事件もありました。

メディア企業だけでなく広告、マーケティング、PR業界も

こうしたストレスと士気の低下を伴う「燃え尽き症候群」の広がりは、メディア企業だけでなく、広告予算の削減で、予算・人員削減の直撃を受けている広告、マーケティング、PR企業でも起きているとの調査結果も発表されています。

コロナ禍によるメンタルヘルスの対策が遅れている

コロナ禍による労働者の精神的ダメージは、無論、メディアや広告関係者だけではないと思います。こうした調査結果を一助として、社会全体のメンタル面における健康度を増進させることを真剣に考えていく必要があるのではないでしょうか。(高橋眞人)

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