日本の大学はもっとPRを教えるべきだ

欧米では人気のパブリックリレーションズ専攻

欧米の大学では、多くの学生がパブリックリレーションズ(PR=広報学)を学んでいます。専攻科を置いている大学も非常に多く、学生にとって大変人気のある学科となっています。大学院にももちろん専攻科があります。日本では「それってなにをするの?」と聞かれてしまう場合が多いですが、欧米諸国では「クールだね!」などといわれることが多いです。

どんな企業にもPR活動が必要

なぜ欧米では、PRがそれほどメジャーな専攻であり、職業なのでしょうか。それは、どんなビジネスでも、社会問題解決の活動でも、慈善活動でも、政府あるいは政治の活動でも、自分たちの活動を多くの人々に知ってもらう必要があります。つまり、どんな事業でも、どんな規模であろうとも、一定程度のPR活動が必要なのです。それはまた、一時的ではなく、長期的な関係を築き上げることを念頭に置かなければなりません。危機管理広報(クライシスコミュニケーション)やデジタルコミュニケーション、公共コミュニケーションも、学問としてのPRの一分野です。

PRとは本質的に実用的な学問

したがって、PRは本質的に実用的なノウハウであり、学問です。日本の大学(とくに文系の大学)は「実用性」を嫌う傾向があるのも、なかなかパブリックリレーションズが大学で広がらない原因なのかもしれません。大手広告代理店に代表される「広告」業の力が強すぎるため、大学でもPRが日陰になっているとの指摘もあります。

PRとマーケティングは似て非なるもの

PRとマーケティング、PRと広告は密接に絡んでいるため、混同されたり、置き換えられたりすることがしばしばありますが、マーケティングや広告を学んだからといって、PRのことをよく理解しているというわけではありません。

日本の大学ももっとPRの授業と専攻を導入すべき

ですから、日本の大学でも、欧米に倣って、もっとPRが教えられるべきだし、もっと多くの学生が学ぶべきだと思います。PRを学べば、どんな道に進んだとしても、それが生きてきます。たとえば、あなたがどんなに良い製品を開発したとしても、あるいは良い主張、良い政策を思いついたとしても、それを多くの人々に知ってもらわない限り、実現することはできないでしょう。それが、私が学生の皆さんにPRを学ぶことをお勧めしたい理由なのです。(高橋眞人)

おすすめ記事一覧

括弧の使い方で悩んだことはありませんか? 括弧を適切に使うのが、上手な文章を書くコツであるということ…

日米の謝罪をめぐる文化ギャップ 企業による謝罪の件数はここ数十年の間に激増している。これは日本だけに…

危機管理とメディア対応は密接不可分 企業に法律が関係する危機が発生したとき、普通は弁護士の意見を聞く…

私が持っている大きな夢の一つは、日本の学校教育に「スピーキング」の授業を全面導入し、日本人のコミュニ…

先日、顔認証技術を使って、一定以上の笑顔であれば出勤とみなす出退勤システムを札幌市の会社が開発したと…

自分自身の考え方を広く、直接伝えるスピーチ/プレゼンテーションは、コミュニケーションの基本です。人前…

プレスリリースはなぜつまらないのか プレスリリースはなぜ退屈で面白くないのでしょう?プレスリリースを…

かつての紙の時代の記事の見出しづくりは、熟練を積んだ職人的なスキルが必要でした。なぜなら、限られた文…

緊急事態宣言が全国的に解除され、職場への通勤も再開しつつあります。「もう電車に乗って会社まで行きたく…

東京五輪招致プレゼンチームを指導して勝利に導いた世界的プレゼンコーチ、マーティン・ニューマン氏との共…

ハンカチを取り出し涙を何度も拭った社長 企業による下手な謝罪は時に状況を悪化させる。旭化学工業は住宅…

国内SNS利用者は7500万人を突破 諸々の問題を含みつつも、フェイスブック、ツイッター、LINE、…