メディアの前でしゃべり過ぎれば死を招く
あなたの会社の幹部はメディアインタビューを受けることがありますか?会社を代表してインタビューを受ける人をスポークスパーソンと言いますが、このスポークスパーソンが、話が止まらず、どこまででもしゃべってしまう人であれば、メディア取材は企業のクライシスに結び付いてしまう危険があります。しゃべり過ぎでせっかくの広報活動が危機を招かないようにするための考え方をご紹介します。
話が止まらなくなる人がいる
このタイプの人々は、仮に優秀な経営者であったとしても、また学歴が高かったとしても、一定程度は存在しています。性格的にサービス精神が旺盛なあまり、あるいは自分の言いたいことが相手に伝わったか不安が残るため、おしゃべりが止まらなくなるタイプだからです。
1.紛糾している問題について自分の主張を言わない
人によっては、聞かれてもいないのに、現在紛糾している政治や社会問題の大議論に自ら切り込んでしまう人がいます。紛糾する政治・社会問題とはいろいろありますが、たとえば政権や各政党に対する賛否、差別問題、反社会的勢力の問題、防衛問題、貧困の問題等々です。企業の代表者としてインタビューを受けているのに、果たしてその問題に切り込んでいく必要があるでしょうか?それが記事になってしまえば、炎上して企業がレピュテーション(評判)のダメージを受ける危険があります。
2.知っていることをすべて話さない
メディアに対しても、知っていることをすべて話そうとする人がいます。例えば、業績の見通しが暗いことであるとか、従業員の質であるとか、自社の失敗の話であるとか、自社にとって不都合な事実でも、自ら語ってしまう人がいます。このタイプがなぜそうするかというと、自分の好ましくない情報を開示し、胸襟を開くことで、相手に好感をもってもらい、信頼されようとするためです。しかし、相手がメディアでは、その戦略は通用しません。ネガティブな話は、よりネガティブに書かれ、叩かれるきっかけとなるだけです。自社のメディアのインタビューでは、知っていることをすべて開示する必要はありません。必要に応じて、情報を提供すればいいのです
3. 同じことを何度も謝罪しない
企業として、自社の不祥事や過失を過去に謝罪したことを、メディアのインタビューで、質問されたわけでもないのに、自ら何度も謝罪する人がいます。しかし、その謝罪が記事になることで、読者はその不祥事の記憶を呼び起こし、企業イメージを浮上させられなくなります。世の中には「何度でも謝罪しろ」という意見の持ち主がいるのは事実ですが、経営者は企業の存続と評判の維持に責任を持っおり、社員を食べさせねばなりません。つまり、謝罪は極力、一度で済ませなくてはならないということです。
4.かといって必要があることを話さないのはだめ
「しゃべり過ぎ」を警戒するあまり、メディアインタビューで話しておくべきことを話さないのは、スポークスパーソンとして失格です。すべてのルールには例外があります。必要な情報を十分に提供しないことも、同様に害となる可能性があります。たとえば、記者から受けた質問に対して、回答を差し控える妥当な理由がないのに、勝手に「ノーコメント」とすることはNGです。コメントを求められたら、なにかコメントするのが原則です。(高橋眞人)