「アメリカ人がもっとも嫌うオフィス用語」が驚きの結果に
米フォーブス誌が2021年2月5日、少し面白い記事を掲載したので、ご紹介します。「アメリカでもっとも嫌われているジャーゴン(業界用語)」という記事です。
これによると、米ゲットレスポンス社が2019年、千人の米国のオフィスワーカーを対象として「オフィスで最も嫌われているビジネスの決まり文句」を調査したところ、以下のような結果になりました。
アメリカでもっとも嫌われているオフィスのフレーズ
①シナジー(Synergy)
②チームワーク(Teamwork)
③連絡をとる・とりあう(Touch base)
④目標を上げる(Raising the bar)
⑤既成概念にとらわれず(Think outside the box)
⑥さらに頑張る(Work harder)
⑦成功事例(Best practice)
⑧パラダイムシフト(Paradigm shift)
⑨次回連絡する必要を感じたとき(The next time you feel the need to reach out・・・)
⑩やる気を出させる(Empower)
⑪その調子で頑張る(Keep up the good work)
⑫今日の終わり(まで)に(At the end of the day)
⑬110%の全力を出す(Give 110%)
⑭それが現実だ(It is what it is)
⑮またこの話に戻ろう(Circle back)
もっとも嫌われているのは「シナジー」と「チームワーク」
書いているうちに、私もだんだん嫌な気分になってきました(笑)。グラフは、最も嫌われているこれら15のビジネス用語を示しています。
米国でもっとも嫌われているビジネスフレーズは「シナジー」だそうです。日本でもビジネスでよく使われる横文字です。でも、日米問わず、あまり大した根拠もなしに、「シナジーを追求しましょう」などと安易に使われている感じもします。
2番目に嫌われている「チームワーク」はちょっとびっくりですが、たしかにどこの国でもあちこちで頻繁に使われていそうです。「こんな奴らとチームワークなんて言ったって無理!」といった拒絶反応もあるのでしょうか。
3番目の「タッチベース(連絡をとる)」は日本では聞かれない表現ですが、日本語だと「今後も連絡をとりあって」という感じでしょうか。「目標を上げる」「さらに頑張る」「やる気を出させる(エンパワー)」も、そう言われてみると、たしかになんだか嫌な言葉ですね(笑)。
「今日の終わりまでに」も嫌がられている
「今日の終わりまでに」というフレーズ、夕方に上司から言われてしまうと、ストレスが激増してしまいそうです。でもこのフレーズ、ほかに言いようがないかもしれません。「それが現実だ」も上司から言われると、なんだか嫌な言葉です。でもアメリカ人はよく使うのですね。
「サークル・バックする(しばらく時間を置いて話に戻る)」は近年、アメリカ人がよく使う表現で、取り敢えず話を打ち切るための便利なフレーズとなっていますが、米ホワイトハウスのジェン・サキ報道官が「後で回答する」という代わりに頻繁に使用するため、米国メディアから「サークルバック・サキ」とからからかわれていました。
ポジティブなフレーズでも何度も聞かされると嫌に
嫌われる言葉の共通項を探すのはむずかしいですが、本来、ポジティブなフレーズでも、上司や先輩から会社優先の文脈で同じ決まり文句を何度も聞かされると嫌になってくる、という人間心理ではないでしょうか。
記事の著者のナイアル・マッカーシー氏(データジャーナリスト)は「米国の勤労者の多くがこれらのフレーズが嫌いだと言っているにもかかわらず、企業の管理職が頻繁に使っている」と皮肉を効かせて終わらせています。日本で調査したら、どんな結果になるのでしょう。(高橋眞人)