ジレットの「最高の男性」動画広告は批判を浴びても大成功

動画の主張に賛否両論が噴出して炎上

男性らしさの放棄を求める

米国の多国籍日用品メーカー、プロクター&ギャンブル(P&G)のカミソリのブランド「ジレット」が2019年1月、「We Believe: The Best Men Can Be(最高の男になれると信じている)」というCM動画をユーチューブやソーシャルメディア上でリリースしたことで、賛否両論が噴出し、米国で大炎上した。

日本では大きな話題にはならなかったが、動画では、MeToo運動に関するニュースが流れ、男性たちが「Boys Will Be Boys(男は男になるんだ)」という台詞を口ずさむ。そして、「男性はいじめ、暴力、セクハラといった問題にもっと取り組む必要があると議論されてきました。私たちは(男性がそうできると)信じています」「男性であることの意味の固定観念に対し、積極的に挑戦します」と、男性たちに男らしさを拒否するように求めている。社会性の強い、かなり刺激的な内容の動画だ。

暴力追放への貢献なのか、男性性への不要な攻撃なのか

動画はユーチューブで何百万回も視聴された。ジレットは、キャンペーンの一環として「最高の男になる」というキャッチフレーズを打ち出し、同名の特設サイトを開設した。 この動画に対して、性暴力やセクハラを根絶しようと戦う運動家たちからは、ジレットを熱烈に称賛する声が寄せられる一方、伝統主義の男性たちからは、「この動画の主張は馬鹿げている」「男性の行動基準を変えることはできない」と非難し、P&G製品のボイコットを呼びかける動きまで現れた。

マーケティング的には大成功

果たして、ジレットの動画は失敗だったのだろうか。米国のマーケティング専門家は、「この広告はそもそも男性をターゲットにしていない。家庭では女性が男性のカミソリを買い物している可能性が高いということだ。そして、多くの女性は怒っているということだ。ジレットの広告は、この女性たちの怒りに焦点を当てた点で素晴らしい」と指摘する。ある広告会社役員は「多くの女性が男性用カミソリを購入すると回答している。人々はどんな意見の持ち主であろうが、この動画を話題にしている。ジレットの広告戦略は成功した」と語っている。ある大学教授は「ジレットは『私たちはカミソリの刃を売るためだけの会社ではない』という主張を見事に伝えることに成功した」という。

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少なくともジレットの広告動画は、クチコミと話題づくりの意味では大成功だったといえる。(高橋眞人)

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