危機に直面したときに取り組むべき3つの最重要ポイント

企業がその評判や事業の継続、そして収益に影響する恐れのある危機に直面すると、日頃の業務とはまったく異なる膨大な仕事が降りかかってきます。これまで二十年近く、危機管理の専門家として多くの危機に陥った顧客のために働いてきた中で、初期段階で取り組むべきもっとも重要なことがいくつかはっきりしてきました。

以下が、危機が発生したときに企業の担当者が取り組むべき3つのもっとも重要なポイントです。

1.時間を確保し、落ち着いて臨む

パニックにならないため、まずは深呼吸です。あなたの当面の危機対処方針に自信を持ち、落ち着いて問題に立ち向かって下さい。ほかの会議や夕食の予定はおそらくキャンセルすべきです。帰宅は遅くなるでしょう。場合によってはホテルを予約すべきかもしれません。ほかの仕事やメンバーにも迷惑がかかってはいけません。

2.危機対応チームを召集する

事前に危機対応チームのメンバーは決めておかねばなりません。このチームは、危機が発生したとき、短時間で大きな決定を下す権限を持っておく必要があります。いろいろな見方から事態を検討できるようにするため、マネジメント、法務、広報、特定の分野の専門家などを集める必要があり、リーダーがだれか、招集するのはだれかを明確にしておく必要があります。危機管理に関して社内のリソースだけで不安がある場合には、社外の危機対応広報専門家や弁護士を入れておくのが良い場合もあります。いったん召集したら、素早く集まる必要があります。集まる会議室を当面の間、確保してください。ここに常時、最新の情報が集まるようにします。責任者は極力、この部屋から離れないようにしてください。何人かのメンバーは離れた場所にいる可能性があるため、ズームやスカイプ、電話などを使うことも想定しておくべきでしょう。トップに直に報告したり承認を得たりする仕組みも当然必要です。企業の規模にもよりますが、トップが自ら危機対応チームを指揮するのが理想です。

3.リスクを評価し、それにしたがって対処方針を決める

現在の危機がこれからどのように発展する可能性があるのか。最悪のケースはどうなるのか。マスコミはいつ嗅ぎつけるのか。報道されるとしたら、いつ、どの程度の激しさで報じられるのか。発表するのか、しないのか。発表するとすれば、どのような方法で、だれに発表するのか。その前に知らせておかなければならないのはだれか。従業員に対してなにか説明をするのか。これらを正確に予測するのはなかなか困難です。その予測の正確さ次第で、対応策の成否が決まってきます。この点は、経験豊かな社外の危機広報専門家がもっとも必要とされるフェイズです。(高橋眞人)

おすすめ記事一覧

「広報・PRを念頭に置いた戦略的CSR活動」をテーマに、代表の高橋眞人が2019年3月29日(金)午…

1.費用対効果が高い SNS(ソーシャルメディア)はそのほかの広告と比べて格段に費用対効果が高いので…

職場に幅広い年代層が混在しているとき、多様な世代に対応する企業文化を確立していくことが重要です。具体…

仕事で時々、文章を書くことがありますか?もし文章力を向上させたいのであれば、以下の偉大な文豪たちのア…

先日、顔認証技術を使って、一定以上の笑顔であれば出勤とみなす出退勤システムを札幌市の会社が開発したと…

オンライン教育のメリットはなにか 新型コロナの脅威のため、多くの大学や専門学校の授業がオンラインに移…

緊急事態宣言が全国的に解除され、職場への通勤も再開しつつあります。「もう電車に乗って会社まで行きたく…

危機管理のバイブル書『ブラックスワン』 元ウォール街のトレーダーで作家、いまでは危機と不確実性の権威…

かつての紙の時代の記事の見出しづくりは、熟練を積んだ職人的なスキルが必要でした。なぜなら、限られた文…

※本記事は、2014年10月28日に高橋が掲載したブログ記事の再掲載です。 タカタ製エアバッグを搭載…

安倍首相による8月28日の突然の辞任発表。この記者会見で首相に「お疲れ様でした」と言った記者は一人だ…

新型コロナウイルス後の世界はどのようになるでしょうか。新型コロナウイルスはすべての人々の生活を揺さぶ…