広報・危機管理担当者が見るべき映画とドラマ
PR修士号に匹敵する米国ドラマもある
今日は広報・PR・危機管理の担当者が見ると役に立つ米国の映画・ドラマを紹介します。年末年始休暇にご覧になれば、リラックスしつつも勉強になる有益な過ごし方ができるのではないでしょうか。なかには全シリーズ見れば、PR修士号を取るのに匹敵するといわれるドラマもあります。
ザ・ホワイトハウス (The West Wing)
米国の放送局NBCで1999~2006年に放送されたドラマで、ホワイトハウスを舞台に大統領とその側近達を中心に描いています。エミー賞の最優秀作品賞を4年連続受賞し、ドラマシリーズ全体では史上最多の計26回受賞しています。
米国では「このドラマの全シリーズを見れば、PR修士号を取るのと同じほど勉強になる」ともいわれています。ホワイトハウスのスタッフたちは、どのようにメディアを引きつけ、油断させ、コミュニケーションによって重要なメッセージを報道させ、そしてどのようにメディアを通して世論を形成するかに奮闘します。戦略的PRのセンスを磨くなら、このドラマを見るのがいちばんです。
サンキュー・スモーキング (Thank you for Smoking)
2005年の米国映画。タバコをプロモーションするPRマン兼ロビイストが主人公の軽快、コミカルでなかなか面白い映画です。主人公のニックは、タバコ業界が設立したタバコ研究所の広報部長。喫煙者の権利を守るため、またタバコと健康悪化に因果関係がないことを説得するため、日々奮闘しています。ニックは巧みな話術と抜群のアイデアで人々を丸め込み、あっと言わせることから「情報操作の王」とも呼ばれています。ものの言い方をちょっと変えただけで、聴衆がどのように考え方を変えるのかなど、PRの力、言葉の持つ力を示してくれています。
ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ (Wag the Dog)
1997年の米国のコメディ映画。選挙戦を控えた大統領のセックス・スキャンダルをもみ消すため奮闘するPR戦略家を描いています。原題の「Wag the dog」は「尻尾のほうが賢けりゃ尻尾が犬を振る」という意味。民主主義国家では国民が主人(犬)で、大統領や周辺のスタッフ(尻尾)は国民に仕えるのが本来の姿ですが、国民より大統領やスタッフのほうが賢いため、国民は政府に振り回され、大統領自身もブレインたちの思惑に振り回されているという皮肉がこめられています。PR戦略家をロバート・デ・ニーロ、ハリウッドのプロデューサーをダスティン・ホフマンが演じています。
スキャンダル
2012年から2018年までのABCで7シーズンにわたり放送された人気政治サスペンスドラマ。ピーボディ賞(画像賞)、エミー賞(優秀女優賞)、ゴールデングローブ賞(最優秀女優賞)、SAG賞を軒並みさらったほか、主演のケリー・ワシントンが人気絶頂で、2018年の「もっとも稼いだ女優」となっています。
ケリー・ワシントン演じるオリビア・ポープは政界における敏腕な危機管理専門家で、現職大統領と不倫の恋に落ちます。首席補佐官や秘密の諜報機関も絡み、スリルあるストーリーが展開します。米国の危機管理専門家が危機をどのように乗り切るか、ドラマチックにするため過激に描いてはいますが、大変参考になります。
ニュースルーム (The Newsroom)
2012年から2014年までHBOで放送されたテレビドラマ。理想のニュース番組を制作しようと奮闘する敏腕アンカーマン、プロデューサーらと視聴率を至上命題とするメディア経営者との確執、法律を盾に記者を逮捕しようとする政府権力との戦い、テレビ局内での激しい競争と友情など、テレビ局の裏側をドラマチックに描いています。今日のメディアが直面する課題についての洞察を与えてくれます。(高橋眞人)