危機から企業を守るために絶対に必要な5つのルール
高まる企業の危機管理の重要性
昨年も、日本大学、財務省、文部科学省、東京医科大学、スルガ銀行、日本ボクシング連盟、スバル、日産など、多くの企業、官庁、団体がブランド失墜の危機に直面し、不祥事報道の洗礼を受けました。企業の危機管理の重要性がますます高まっていますが、経験豊富なプロであれば、事前に危機を予期して対策を立て、心構えをもっておくものです。その中でも、もっとも重要な5つのルールは以下のとおりです。
1.あなたの企業のリスクを特定する
危機の発生は多様な形をとる可能性があります。製品担当者(ブランドマネージャー)が危機のシナリオを正確に予測するのは、なかなか困難です。事前にプロに相談しつつ、諸々のリスクのリストアップ、そして最悪の場合、それがどのように発展するか、どのようなダメージを被る可能性があるか、どのような対応が必要になるかをまとめておくことが必要です。
2.スピーディに行動できる態勢を整えておく
危機が発生したときに迅速に行動することの重要性は、決して目新しい知識ではないかもしれませんが、ネット上のクチコミとそれを追うメディアのスピードに追い付かなければいけないという当たり前のルールを無視している企業は、実は少なくないものです。たとえば、大手外食チェーンで相次いでいるいわゆる「バイトテロ」。SNSに問題の画像がアップされると、夜間でも週末でも、たった数時間のうちに拡散し、ネットメディアが後を追い、炎上します。こうした状態を丸一日様子見しただけで、企業がさらに批判にさらされる場合があります。そうなればもう取返しがつきません。どれくらいのスピードで対応すべきでしょうか。敢えていえば、問題発生から遅くとも2~3時間以内に対応すべきといえます。
3.ホールディングコメントを準備しておく
突然発生する危機にスピーディに対応するために大いに役に立つ準備は、ホールディングコメント(状況がよく分からない中での取り敢えずのコメントや、お詫びのステートメント(文章)を予め用意しておくことです。ホールディングコメントの公表は、何が起きたのかをより正確に把握し、適切なステートメントが出せるようになるまで、報道機関からの矢継ぎ早の攻撃を一定程度防ぐ効果があります。ホールディングコメントは簡単なものでよく、細かい点まで説明する必要はありません。
4.誠実に対応する
多くの組織にとって、公に謝罪するのはなかなかむずかしいものです。しかし、多くの消費者やネットユーザーがお詫びの言葉を期待しているにもかかわらず、まったく謝罪の言葉がなく、客観的な説明だけで終わるのは、火に油を注ぐ結果となるでしょう。謝罪すべきときに、誠実で共感的な謝罪の言葉をいえないのであれば、消費者やネットユーザーからネット上で非難の言葉を浴びることになります。
5.事態を軽視しない
組織が中程度の問題を大きな危機にエスカレートさせてしまう一つの原因は、事態を過小評価したいという誘惑に屈してしまうことです。危機管理は、売上目標達成に向けた宣言とは異なります。あくまで客観的に評価しなければなりません。(高橋眞人)