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政治家の失言はなぜ繰り返されるのか~メディアトレーニングの必要性

政治家の失言や問題発言が後を絶ちません。失言しなければすべてよいというわけでもないですが、政治家は言葉の職業であり、言葉で人々の信頼を失っていたら、仕事が務まりません。いったいどうすればよいのでしょうか。対策を立てるためには、失言が出てしまうその原因、つまりその人なりの傾向(弱点)を突き止めることが必要です。失言や問題発言にも、原因がいろいろあります。そして、それを追求するのが「メディアトレーニング」です。政治家は、数ある職業の中でも、もっともメディアトレーニングを受けるべき職業といえるでしょう。つい最近の政治家の失言を取り上げ、検討してみましょう。

【桜田五輪相「復興より大事」発言】 

桜田義孝オリンピック担当相は4月10日、高橋比奈子議員のパーティーで、岩手県出身の高橋議員を持ち上げるつもりで「復興以上に大事なのが高橋議員だ」と発言。これが報じられ、「復興を軽視している」と、大きな問題となりました。桜田氏は「被災者の気持ちを傷つけた責任を取りたい」として、安倍晋三首相に辞表を提出し、受理されました。これまで失言が多い桜田氏をかばい続けてきた官邸による事実上の更迭です。そもそも、同僚議員と被災地復興では、その重要性を比較できるものではありませんし、比較する必要性もまったくありませんでした。けれども、なぜ失言したのか?この失言は、政治家にありがちな、自分の話を盛り上げ、注目を引くための比喩や形容を大げさにしてしまう性癖が原因でしょう。もう一つは、同じ場の目の前にいる人しか眼中に入らない。日本の中には、さまざまな立場のさまざまな人たちがいる。そのことに思いをはせられない。視野の(一時的な)狭窄です。そこに桜田氏の弱点があります。

【桜田五輪相、池江選手の白血病に「がっかり」発言】

桜田義孝オリンピック担当相は今年2月12日、競泳の池江璃花子選手が白血病を公表したことを受け、記者団とのやり取りのなかで「日本が期待している選手だから本当にがっかりしている」「1人リードする選手がいると全体が盛り上がる。そうした盛り上がりが若干下火にならないか、ちょっと心配している」と語りました。これに対してインターネット上では「本当に最低な発言」「池江選手が一番つらいのによくそんなことを言えるな」と批判が殺到しました。「切り取り報道」だけで批判しないように求める冷静な意見もありましたが、桜田氏は国会で謝罪し、発言を撤回しました。発言の全体を読めば、桜田氏の意図は分からないでもないですし、理屈だけで言えば間違ってはいないのですが、自分が発する言葉を大事にしなければならない政治家の発言としては、この状況の中での「がっかり」は、多くの国民の心を傷つけることとなりますので、やはり失格です。この原因は、ボキャブラリーの不足、より正確に言えば「言葉に対する繊細な心配り」が不足しているのです。言葉に対する繊細な心配りがなく、人の気持ちを傷つけているような政治家ならば、「実際に人のことも傷つけるのではないか」と有権者は自然と感じてしまいます。だからといって、桜田氏の心が粗暴であるとまでは言えないかもしれません。しかし、人々からの信頼があって初めて成り立つ、政治家という職業です。であるからこそ、こうした方は大人であっても、メディアトレーニングを通じて、コミュニケーションの訓練を積むべきです。

【塚田副大臣、道路整備は「忖度」発言】

塚田一郎国土交通副大臣が4月1日、下関北九州道路の建設計画を国直轄の調査に引き上げた理由について、安倍首相と麻生副総理の意向を「忖度した」と、選挙候補者の集会で発言し、これが報じられて、野党などから大きな批判が起こりました。塚田氏はこの責任をとって4月5日に辞任しました。自分で言ったのだからきっと「忖度」したのでしょう。また、国会やメディア取材ではなく、仲間うちの候補者の集会であったため、本人は油断して、公の席で言ってはならない「本音」を語ってしまったのだと思います。桜田氏の「復興より大事」発言もそうですが、仲間うちの集まりだと油断しやすいことが如実に表れています。また、大臣や副大臣クラスが選挙候補者の集会に行けば、自分がいちばん「偉い」立場になりがちです。これも油断が生じる原因となります。メディアトレーニングでは、雑談や気が緩んだときに起こる失言についても、指摘をおこない、その人なりの対策を立てていきます。

【枝野代表「登校拒否みたい」発言】

立憲民主党の枝野幸男代表は4月17日のラジオ番組で、国会集中審議の早期開催に否定的な与党について「堂々と審議拒否している。登校拒否みたいな話だ」と批判しましたが、ネット上で「不適切だ」「良くない例えだ」などと批判が上がりました。このため枝野氏はツイッター上で「ネガティブに受け取られる表現だった。おわびし、訂正する」「『不登校』の背景には、本人や保護者の責に帰すことのできない様々な事情がある」と謝罪しました。この失言も、自分の話をより激しく、興味深くしたいという欲求から来る、ある意味で政治家特有の性癖が原因でしょう。やはり、「審議拒否」を「登校拒否」に例える必要はそもそもありませんし、この例えをすることで、「不登校」の子供たちをディスることにつながります。いまは「登校拒否」も「不登校」と言うべきです。言葉に対する配慮が欠如していたとも言えます。弱者の味方だと公言している同党の代表だからこそ、発言の勢いを重視するあまり、不登校の子供や保護者への配慮が欠けた発言をするのは、なおさら問題です。

責任が大きい人ほどメディアトレーニングを受けるべき

知人の政治家秘書から、「永田町では黙っていると馬鹿にされる」と聞いたことがあります。「沈黙は金」だと言っても、政治に携わる人がずっと黙っているわけにもいかないでしょう。同じ話すなら、できるだけ人の耳目を集めることを言いたいという気持ちも分かります。でも、それだけ政治家にとって言葉が大切なら、政治家は言葉をもっと繊細に、生まれたばかりのひな鳥のように、大切に扱わなければなりません。

私もこれまで、政党幹部も含め、非常に多くの政治家の方々に、メディアトレーニングの講師として指導してきました。そもそもメディアトレーニングを一回も受けない政治家が、国会での答弁やテレビ出演をすることは、私には考えられません。責任が大きければ大きい人ほど、こうした失言が起こる原因を突き止め、定期的なメディアトレーニングで自ら気づき、修正していくべきと思います。(高橋眞人)

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