最近の若い人はなぜメモを取らないのか~メモで有能さが決まるのに

メモを取るのが面倒と感じる若者たち

最近の若い人は、業務の指示や説明をしても、滅多にメモを取ろうとしませんね。「メモを取らなくて大丈夫?」と聞くと、「大丈夫です」といいます。「メモを取らないと、必ず忘れるよ」と言うと、やっと面倒くさそうにPCを取り出して、カタカタと打ち込み始めます。

メモを取らなければ覚えていられない

人に教える側になると分かりますが、一度口で説明したことを「はい、わかりました!」と調子よく聞いていた人が、次回になると、すっかり忘れてしまっているのを見ると、「だから、言ったこっちゃない。メモを取らないからこうなるんだ」とがっかりします。しかも、そんなことが度々あります。

メモ取りは社会人としてのマナー

社会人としての訓練がなっていないとも言うこともできるでしょうし、「人間だから、忘れたら忘れたで仕方ない。そんな些細な記憶力に俺の人間としての価値があるんじゃない」などと、なんとなく信じているのかもしれません。

紙切れではなくノートにメモを取る

私は新聞社に入社したとき、上司のデスクから「必ずメモを取れ。紙切れに書くとなくなるから、必ずノートに書け」と口を酸っぱくして教え込まれました。新聞記者は、取材してメモを取るのが仕事です。しかも、メモを取った証拠がないと相手に裁判で訴えられたときに負けてしまうという恐れがありますので、ちょっと特殊かもしれませんが、この癖を付けてもらったお陰で、その後の仕事人生で、大いに助かりました。

1日経てばほとんどを忘れてしまう

エビングハウスの忘却曲線という有名な学習心理学の理論があり、これによると、人間は頭で記憶しても、1日経つとその74%は忘れてしまいます。つまり、どんなに頭で記憶しようと思っても、ほとんどは忘れてしまう。つまり、耳で聞いたことの意味はなかったということです。だからこそ、なにかを学んだり指示を受けたりしたら、必ずメモを取るべきなのです。

繰り返し読み返すことに意味がある

最近はPCでメモを取る人が多くなりました。これはどうでしょう?議事録や逐語起こしが必要な内容であれば合理的で良いでしょうが、メモとしての機能を考えれば、手書きのほうが圧倒的に有利です。なぜなら、メモは後から見返さなければ意味がありません。しかも、1日、1週間後、1か月後と、繰り返し見返すことが、非常に効果があります。なぜなら、1日後に復習しても1週間後にはまた忘れるし、1週間後に復習しても1か月後にはまたまた忘れているからです。

ちょっとした空き時間に読み返す

ですから、メモは後から、ちょっとした空き時間などに簡単に見返せることが重要です。逐一読む必要はありません。重要と思う箇所をざっと流し読みするだけでも、大きな効果があります。

手書きのほうが読み返しやすい

また、その内容が次回、必要になるときがあります。たとえば、教えられた業務を実際に任されるときや、同じ講義や研修の続きといったときです。その直前に、メモを読み返すのです。こうしたことを考えると、PCに打ち込むより手書きのほうが見返しやすいことは明らかです。

ポイントが分かりやすいメモにする

メモは読み返すためにあるのですから、後から読んだときに理解しやすくメモを取ることも重要です。文字が読めることももちろん必要ですが、だらだらとメモを取るのではなく、後から読んでポイントがなにかが分かりやすいことが大事です。

メモの取り方で有能さが決まる

たとえば、会社で同期入社の10人が同じ業務研修を受けたとします。そのうち2人はメモをまったく取りませんでした。次の2人はホワイボードをスマホで撮影しただけです。その次の3人はPCのキーボードで打ち込みました。その次の2人は配られたプリントの余白や裏にメモを取りました。残る最後の一人は、ノートにメモを取りました。さて、次の研修の続きの講義のとき、だれがいちばん前回の講義の内容を覚えていられると思いますか?実は、この質問はいったいだれがいちばん復習できたかという質問と同じです。私は断然、ノートにメモを取った人である確率が高いと思います。なぜなら、PCに打ち込んだテキスト情報や写メした画像は、保存性や使い回しには優れていますが、ちょっとした空き時間や直前に見返すのが面倒で容易ではないからです。

配布資料のメモは紛失しやすく読み返しにくい

配布資料の余白や裏に書き込んだ人は、その資料を常に持ち歩かないため、ちょっとした空き時間に見返すことができません。また次回の講義にその資料を忘れてきてしまう可能性が高いです。そうなると、復習がまったくできないことになります。その結果として、メモをしたノートを常に持ち歩く人が、いちばん復習の時間をとりやすいため、次回の研修では、もっとも有能と認められやすくなります。(高橋眞人)

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