あなたの広報活動の効果はどう測定すればよい?
広報活動のKPIはどうあるべきか
広報担当者にとって悩ましいのが、広報活動の効果測定です。ビジネスの成果を数値化したものがKPI(キー・パフォーマンス・インディケーター)です。それでは、広報の効果をどうやって数値化すればよいでしょうか?
これまで主流を占めてきたのが、獲得したメディア媒体の記事面積(放送時間)に相当する広告料金を算出する「広告換算値」ですが、ウェブの時代には、この広告換算値方式は古くなりつつあります。
現代の広報効果測定で有効とされる指標をいくつかご紹介します。
【リファラル(紹介)】
自社のウェブサイトを訪れるユーザーの多くは、自社の製品、ブランドなどを取り上げて記事を掲載したオンラインメディアなどのウェブサイトのリンクをたどってやってきます。どこのメディアから何人来たか、それがリファラルです。このリファラルは、ウェブサイト分析の無料基本ツールであるGoogleアナリティクスを使えば簡単に検出できます。
【メンション(言及)】
ほかのウェブサイトで、どれくらい自社の製品やブランドが言及されたかの数が「メンション」です。無料のサービスでは「Googleアラート」がありますが、信頼性は低いうえ、テレビやラジオ、ソーシャルメディアはモニターできません。このほかに有料のウェブモニターサービスがあります。広報担当者は、自社の社名とブランド名をモニターするだけでなく、社長やそのほかの役員の名前、競合企業や業界のキーワードについてもモニターすることをお勧めします。
一方、ネガティブな言及を気にしなくてはならない場合、ポジティブ、ネガティブ、ニュートラルといった分析評価を採用することがあります。このようなサービスも、ウェブモニタリング会社が提供しています。
こうした「メンション」分析により、広報部門がほかのメディアやソーシャルメディア、そのほかのウェブサイトにおいて、ポジティブな言及を促進するための戦略を立てたり、SEOを強化したりするのに役立ちます。
あなたのブランドに言及しているウェブサイトに強いドメイン権限がある場合は、サイトのウェブマスターに連絡し、ブランドに言及してくれたことを感謝し、サイトにリンクするように依頼してください。暗黙のリンクを明示的なリンクに変換し、SEOを向上させます。
【レゾナンス(共鳴)】
メディアの記事にあなたの会社にとって望ましいキーメッセージが含まれている場合、これをメッセージのレゾナンスといいます。 まずもっとも望ましい簡潔なメッセージを1つか2つ選択し、メディア記事(放送)を分析し、それらのキーメッセージを含む記事の数を調査します。この手法は、たとえば発売した新商品や新しい企業戦略などをメディアがどれだけ理解してくれたのかを判断するのにとくに役立ちます。
【シェア・オブ・ボイス(SOV)】
あたなの会社または商品のことを言及した記事の数が、競合他社について言及した全体の数のうちどれくらいの割合を占めたかがシェア・オブ・ボイスです。その場合、競合をどの企業とどの企業といったように何社か指定しておかなければなりません。たとえば、競合会社が65件言及され、あなたの会社が35件言及された場合は、あなたの会社のSOVは35%です。
企業ごとではなく、ブランドごと、商品ごと、あるいはジャンルごとにSOVを比較すれば、競合他社と比べて、あなたの会社のどこに強み、弱みがあるかを知ることができます。
【記事のレーティング】
広報担当者はこれまで掲載記事の数を数えて満足してきました。しかし、それはあくまでも数であって、記事の質ではありません。ポジティブかネガティブかもわかりません。そこで、各記事をあらかじめ作成した基準にしたがってランク付けするのです。たとえば5段階評価のレーティングを行います。
これらの指標を組み合わせることで、その企業にとって必要で独自の効果測定システムを構築することが可能です。この分析評価は往々にして、経営幹部からも戦略を立てる際に参考になるとして重宝されます。
株式会社コミコンでは、各社のニーズに応じた広報効果測定がどうあるべきかのコンサルティングも提供しています。(高橋眞人)