コロナ禍でなぜか顕在化しつつあるエキスパート人材難
長引くコロナ禍など先行き不透明感により、広告・PRの世界でも、世界的に労働需要の大幅な縮小が起きている。労働人口の縮小の結果、逆に必要な人材はすべてのレベルで不足している。全体的に、マネージャークラスのポジションが空いている割合が高くなっているという。
エキスパート人材はどこへ行ったのか?
日本でも、求める人材と応募してくる人材とのミスマッチがこれまで以上に広がっているとの報告もある。エキスパート人材たちは、いったいどこへ行ってしまったのだろうか。
コロナ禍を契機に人生の方向転換か
メディア自体が衰退期を迎えたことに加え、広告・PR業界はスピードが速いうえ、長時間労働で、常に変化があり、競争を求められる過酷な職場であるため、現在のコロナ禍を契機として、この業界から去り、自らの夢の追求に移ってしまった人材も少なくない可能性がある。
企業がエキスパート人材を雇用する際のチェックポイント
そこで、「アフター・コロナ」時代にエキスパート人材を雇用する際のヒントを3つご紹介したい。
ワーク・ライフ・バランスの提供
1つ目は「ワーク・ライフ・バランス」の提供である。コロナ禍を経て、社員たちは健康の大切さに目覚め、家族や大切な人と過ごす時間の重要性を再認識している。また、自分の好きなことにもっと時間を費やしたいと考えている。長時間労働することが「名誉」であると考える社員は減ったと考えてよい。週休2日よりも週休3日を選ぶ労働者もいる。
また、コロナ禍を経験して、労働者たちはリモートワーク、リモート会議のありがたさ、通勤しなくてよい快適さに気づいてしまった。求人広告にこの勤務形態のフレキシビリティ(柔軟さ)を掲載するかどうかで、応募する人材には大いに違いが出てくる。
労働者個人の理想と一致する企業文化
2つ目は、企業文化である。会社の文化が個人の考え方と一致することが、かつてなく重要となってきている。つまり、会社の使命も、人々や地球を助けていくことなど、個人の理想と一致してほしいと考える人が増えている。
デジタル・マーケティングへの深い理解
3つ目は、デジタル・マーケティングを理解し、これを積極的に採り入れる態度を持つことである。そうは言っても、日本国内の企業の経営者・管理者層は、これを理解しておらず、軽視している人々が少なくない。したがって、これに関連する人材を雇用する際も、必要なスキルを身に着けていない経験の浅い人々を雇い入れてしまう場合もある。
デジタル・マーケティングに取り組む場合、やはりこの分野に精通したナビゲーターが、社内外を問わず、先導していく必要があるといえる。(高橋眞人)