World After Corona (アフター・コロナの世界) はどうなるのか

新型コロナウイルス後の世界はどのようになるでしょうか。新型コロナウイルスはすべての人々の生活を揺さぶり、深刻な影響を与えていますが、危機は早晩、克服されていくでしょう。ところが、経済的、政治的、社会的な大変化が避けられません。新型コロナウイルスは、我々に多くの重要なことを学ばせてくれることになります。今後のあらゆる活動においては、新型コロナウイルス後の世界を予測することが重要です。

グローバリゼーションが逆回転を始める

経済的に言えば、各国政府は医療物資を含めたあらゆるサプライチェーンのグローバル依存を減らし、経済自立度を高めることにより、いざというときの安全保障を確保する道を選ばざるを得なくなるでしょう。とくに中国経済への依存の脆弱性を認識し、これに対する反動でビジネスの中国離れが進むでしょう。世界が20世紀のような国家の垣根を取り外すこと、世界的な経済統合が好ましいというグローバリゼーション賛美の考え方に逆戻りすることはないでしょう。

一方で、グローバルな協調体制の必要性は増すことはあっても減ることはないため、各国ごとの安全保障とグローバルな協調との間で、適切なバランスをとることがますます重要となるでしょう。

国家による経済介入が求められる

また、長期の経済的不況に耐えられるような安定的な経済システムを政府に求める声が高まります。その意味では、ウォール街やシティのマネーゲームを中心とした市場絶対主義から、各国政府が主体的な介入権限を持つシステムへのシフトを求める意見が必然的に高まるでしょう。たとえば、ベーシック・インカムや国民皆医療保険制度のような社会主義的政策も、その一つの考え方です。

没落国に仲間入りする国が増える

今回のパンデミックとそれに続く世界的大不況から抜け出せない国は、人口減少、低成長の時代にあって、その後長期にわたって衰退の道を歩む危険が高いでしょう。いわゆる先進国群のG7や国連には、いまのところ、没落しつつある国を恒久的に救う体力が残っているとは思えません。

国家機構の強化が求められる

政治的に、コロナウイルス後の世界では、各国政府は戦争や地震、津波、洪水などと並んで、パンデミックという大災害に日ごろから備えておく必要性を学ぶでしょう。また、緊急事態に対する備え、政府が効果的なリーダーシップをいかんなく発揮できる制度・システムの構築を求める圧力が高まるでしょう。いずれにしても国家機構を強化する方向に働かざるを得ません。

ローカリズム(地域主義)が復権する

一方、各国が何よりもまず自国民の生命と安全を守るため、国連組織や政府間協定、国際協調をさておいても、必要な施策をとる重要性を認識せざるを得なくなるでしょう。グローバリズム全盛の時代から、ナショナリズム、ローカリズムが復権する時代となります。

真のリーダーがあぶり出される

また、危機下においては、危機に対処する能力を持つ真のリーダー、指導者があぶり出され、国民からの期待が高まる可能性があります。これは政治家だけではなく、言論人や科学者、医療関係者も含まれます。政府が日ごろから各分野の専門家のうち、いったいだれが本当に信頼に値するのかを値踏みしておく必要性も再認識されます。

情報流通の管理が求められる

情報流通に関していえば、各国政府は国民に対する情報を管理する必要性をより一層認識せざるを得ないでしょう。フェイクニュースや政府の取り組みを妨害する情報、さらには外国による情報操作を抑えるための対策、政府が正しい事実、必要な情報を漏れなく伝達できる制度の構築が求められます。こうした取り組みが、危機時だけでなく、通常時においても標準的な考え方となるでしょう。

一方、既成マスコミの知的能力を含めた世論をリードする能力の限界がより明らかとなり、インターネットメディアを通じて、真に世論をリードする力を持つ専門家や言論人がますます多く登場することになるでしょう。

リモートワークへのシフトが勢いを増す

働き方の面では、多くの人々が集団の職場より在宅ワーク、リモートワークを好むようになり、仕事の分散化がますます進むでしょう。危険が多い都市より自然の多い地方都市で暮らすことを望む人々も多くなるかもしれません。

その意味では、今回のパンデミックで、世界の人々が気候変動を抑制する方法を学ぶことになります。多くの人々が不必要な移動をせずに、働き、生きていくことを覚える可能性が高いでしょう。

親中・反中勢力間の軋轢が高まる

国際関係でいえば、従来は、米国の影響力が低下しつつある中、世界経済は中国の巨大な市場が牽引するシステムに向かっていましたが、この動きが逆回転し、中国が借款や潤沢な対外戦略資金をもとに多くの国々に影響力を及ぼし、世界のリーダーシップを握ることに対する各国の警戒心が強まり、親中国勢力と反中国勢力の間の軋轢・闘争が高まることになるでしょう。この軋轢に伴い、また各国のナショナリズム、ローカリズムの台頭に伴い、国連やその他の国際機関の影響力は必然的にますます弱まると考えられます。

歴史は繰り返すといわれます。日本を含めた各国は、歴史を振り返り、決して誤った道をたどってはならないということです。(高橋眞人)

おすすめ記事一覧

自由があるのが自民党、自由がないのが民主党 小泉進次郎さんは、若手ですが、あらゆる年代の政治家の中で…

緊急事態宣言が全国的に解除され、職場への通勤も再開しつつあります。「もう電車に乗って会社まで行きたく…

※本記事は、2014年10月19日に高橋がブログに掲載した記事を再掲載したものです。 自らの看護師2…

コンテンツマーケティングは主要な潮流 記事や動画といったコンテンツを制作・発信することで潜在顧客の中…

括弧の使い方で悩んだことはありませんか? 括弧を適切に使うのが、上手な文章を書くコツであるということ…

日本の「霞ヶ関芸術」パワポがついに海外勢に目をつけられてしまった これは大げさな話ではありません。本…

6.自社にネガティブなことを話してしまう   記者に聞かれてもいないのに、自分の会社のネガ…

企業の広報担当者は、ある意味、お客様であるマスコミの記者に対して、あからさまに不満、不平をいうことは…

遠隔授業に関して世界でももっとも進んでいる米国では、大学生や専門学校に関しては、これまでも非常に多く…

働く人々を憂うつにさせ、健康を壊す最大の原因は、おそらくモンスタークライアントやモンスター上司の存在…

  *        *        * 企業がソーシャルメデイァ上で炎上し、窮地に追い込まれる事…

日本では、企業によるソーシャルメディア(SNS)の活用が、一部企業を除いて遅々として進んでいないよう…