広報担当者が失敗しがちなことワースト10(上)
メディアにとって、痛い広報担当者のタイプがいくつかあります。きょうはそれをご紹介します。あなたは、どれかに当てはまりませんか?
1.メディアの問い合わせに対する返答が遅い
メディアから質問が来たとき、受け答えは丁寧で愛想も良いのですが、「折り返しご連絡させていただきます」といっておきながら、なかなか回答を寄こさない広報担当者がいます。新聞社や雑誌編集部、テレビ局からの問い合わせは、大抵は急ぎのものです。それにもかかわらず、2時間、3時間以上も待たせると、記者の側はいらいらしてきます。せっかく調べて回答しても、「記事の入稿は終わってしまいました」といわれ、骨折り損になってしまう可能性もあります。そもそも、折り返しの回答を約束するとき、「回答の期限はいつまででしょうか?」と必ず記者に確認するべきです。そうしないと、相手がどの程度急いでいるのかが分からないままなので、大変な迷惑をかけてしまうリスクもあるのです。
2. メディアからの質問に対して「分からない」「答えられない」が多い
メディアからせっかく取材の質問を受けても、広報担当者の「それは分かりません」「それはお答えできません」という回答がやたらと多い会社があります。本当に会社の機密事項であるとか、分かりかねることであればよいのですが、そうでない場合、どう考えてもそれくらいはだれかが答えられるだろう、というものも結構あります。このような取材対応はよくありません。記者もがっかりしてしまいますし、二度と取材問い合わせをする気力も失せてしまいます。もし自分が分からないのであれば、あるいは答える権限がないのであれば、社内の然るべき担当者にあたり、迅速に回答すべきです。また、本当に答えられないのであれば、「未定である」「協議中である」「規則で開示できないことになっている」など、その理由を明確に述べるべきです。
3.上司や役員に言われて回答を変更する
メディアからの重要な問い合わせに対して、一度きっぱりと回答したにもかかわらず、しばらくすると「あれは違っていました」といって、回答を変更する会社があります。たしかにそういうことはまったくないとはいえないでしょうが、こんなことが二度、三度と続くと、記者のほうも嫌になりますし、その広報担当者のいうことは信用がおけないと思うようになるでしょう。これは社内の体質ということもあるかもしれませんが、基本的には広報担当者の能力の問題です。きちっと了承が得られた回答を行うのが優秀な広報担当者であるといえます。
4.記者を怖がって態度がおどおどしている
記者から問い合わせや取材が来ると、なぜか対応する態度がおどおどしている広報担当者がいます。それも結構な数がいます。記者のことが恐ろしかったり、あるいは自分がなにか失敗をするのが怖かったりするのでしょう。けれども、広報担当者がそのような態度では、記者はその広報担当者のいうことを信用しにくいでしょうし、「この会社は取材されてなにか後ろめたいことでもあるのかな」とさえ感じてしまうかもしれません。記者に対して好印象を残し、もっと取材したいと思わせるのも、広報担当者の仕事のうちです。メディアに対しては基本的にはフレンドリーに、かつサービス精神をもって応対する必要があります。
5.記者に対して威圧的である
反対に、記者に対する態度が威圧的、高圧的で、プレッシャーをかけているかのような広報担当者(あるいは担当役員)がときどきいるのですが、これも最悪です。ジャーナリストという職業は、権力に反発する性質があるため、取材相手に威圧されれば、自然と対抗して戦闘的な物腰になります。これでは、その会社に対する記者の心証はガタ落ちしますし、場合によっては、わざわざネガティブな記事を書かれてしまう危険性すらあります。やはりメディアには自社のことをよく書いてもらう必要がありますので、公平かつ親切に接するようにしてください。(高橋眞人)