米国赤十字のスーパーストーム対応の失敗

※本記事は、2014年11月5日に高橋が掲載したブログ記事を再掲載したものです。

米国赤十字がスーパーストーム「サンディ」と台風「アイザック」の被害救済のための資金に関して不正な管理を行っていたと、ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)と調査報道機関プロパブリカが先週、痛烈な調査報道記事を公表し、米国で大きな問題となっている。

しかしながら、赤十字社の幹部はこの報道についてできるだけ軽く見ようと考えているようだ。同組織はテレビ局のPBSに対しては、同局の報道に対する反論すら行った。

同組織の広報部門は「プロパブリカとNPRは弊社のスーパーストーム・サンディへの対応に関し、ネガティブな情報だけを集めるために数か月にもわたる調査を行い、歪んだ記事を通じてセンセーショナルかつ誇大な攻撃をしてきた」との反論のコメントを自社ブログに書き込んだ。さらに「NPRとプロパブリカの報道を通じて、彼らが強いジャーナリズム意識とバランスのある報道に根差しているにもかかわらず、主義主張のための報道に偏っていると強く認識せざるを得ない。これらの記事は、読者を引きつけるための角度としては強力であろうが、報道の公平性という意味では成功していない」との主張を展開した。

ダメージ・コントロールの失敗が重なった

今回の赤十字社の不祥事対応(ダメージ・コントロール)には明らかにいくつかの誤りがある。何より赤十字社は報道内容を変えさせるために注力しすぎている。これはもともと“負け戦”なのであり、ほとんどの人々は報道が事実に基づいていると考えているのだ。

そのうえ、赤十字社による災害被害支援の不正資金管理に焦点を当てた報道は、赤十字にとってネガティブというよりも極めて厳しいものだった。また報道には、赤十字社幹部の手による内部資料や赤十字のボランティアたちによる裏付けもある。

PRは弱点を覆い隠すためのものではない

米国の危機管理コミュニケーション専門家、ジル・ルドースキー氏は「私は広報のプロだが、明らかに赤十字社が広報目的のためだけに、自社の車両を台風のない地域に派遣したという暴露記事にいちばんがっかりさせられた。広報活動(PR)というものは、その組織の良い活動をサポートするためにあるのであって、覆い隠したり捏造したりするためにあるのではない」とブログに書いている。

自社の不祥事対応の悪かった点を反省する

また、「赤十字社は報道で深刻化するこの不祥事からなんとかリカバリーする必要に迫られている。いずれ以下の4つのステップによりレピュテーション(評判)の修復を行うことになるであろう。そして何より重要なことは、赤十字社がより効果的な災害救援組織になることを助けることである」という。ルドースキー氏によると、4つのステップとは、

  1. 自らの不祥事のいったいどこが悪かったのかをしっかり反省する。よりいいのは、第三者機関に検証してもらうことである。
  2. 不祥事についてリカバリーする計画を作成する。計画は具体的で、報道で指摘されたそれぞれの問題について記述される必要がある。これを第三者機関の目を通してもらえばさらにいい。
  3. 計画を実行に移し、確実に機能させる。
  4. 最後に、赤十字社はこのプロセスの全体について透明性を確保する。ウェブサイトや記者会見を通じて一連のプロセスを公表する。

米国赤十字のローラ・ハウ副社長(広報担当)は自社ブログに、「結論としては、アメリカ人は赤十字を信頼しており、今後も信頼し続けるであろうということだ」と書いている。

たしかに、赤十字社にとって良いニュースがあるとすれば、多くの人々がそのリカバリーが成功し、その後の災害救援活動がより素晴らしくなることを望んでいることだ。

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