業務のリモート化を推し進めた国がパンデミックに勝利する

世界中の感染症専門機関の中で、米国の疾病予防管理センター(CDC)がもっとも信頼できるといわれている。米CDCは2020年2月25日、米議会上院に対し、「新型コロナウイルスの当面のリスクは低いままだが、今後、国内でのウイルスの拡散は避けられない。一般市民にとっての脅威が増大している」と警告した。トランプ大統領が示した楽観的な見通しとは対照的だった。世界中の経済の先行きを悲観した株価の一斉下落は、こうした米専門機関の見方を反映している。

働き方の指示にまで踏み込んだ米CDC

さらにCDCは2月25日、記者会見を開き、「企業や学校などがウイルス拡散への対策を始めるときだ」と具体的な指示に踏み込んだ。CDCのナンシー・メッソニエ博士は「企業は対面の会議をテレビ会議に置き換えることを検討する必要がある。学校は、オンライン学習を採用する、生徒を小さな人数に分ける、学校を閉鎖するなど、対面接触を制限する方法を検討すべきだ。自治体は大規模な集まりの延期、中止を検討する必要がある」と述べた。

日本こそ、この指摘が当てはまる。日本は世界的に悪評の高い満員の通勤電車があるため、感染症対策からいえば最悪の状況だ。

2010年からリモートワークを推進してきた米国

米国は今回のウイルス禍に火が付くずっと前から、国を挙げてリモートワーク(在宅勤務)への移行を推進してきた。2010年に「テレワーク推進法」が施行され、連邦政府機関職員のリモートワーク化を強力に推進してきた。リモートワークの対象となる職員は全体の過半数に達している。もともとの動機は、さまざまな緊急時でも連邦政府の重要な業務が継続されること、柔軟な勤務形態により連邦政府職員が仕事と私生活のバランスを取れるようにすることであった。

 米フォーチュン誌が選ぶ「働きがいのある会社ベスト100社」は、デロイト、インテル、シスコ、アクセンチュア、プライスウォーターハウスクーパースなど、そのほとんどがリモートワーク制度を推進している。クラウドコンピューティング技術の進歩や、スカイプ・ズームといったウェブ会議システムの普及が、リモートワークを強力に後押ししている。

仕事の満足度が高く退職したくならない

米国心理学会が在宅勤務について20年間調査研究してきた結果、リモートワークの従業員は仕事の満足度が高く、ストレスが少なく、ワークライフバランスが改善され、退職する気になりにくいことが分かっている。また、バーチャルの労働者は、上司から高い業績評価を受ける傾向があるという。

パンデミックに勝利するのはリモートワーク先進国

日本の組織も、労働者のライフワークバランスの改善のためにも、あらゆる危機でも業務が継続されるためにも、コスト削減のためにも、リモートワークを真剣に考えるときがやってきたといえそうだ。学校も然り、オンライン学習システムの積極的な導入が望まれている。長期の世界的パンデミックにもっともよく耐えて勝利する国は、実はリモートワークと学習のオンライン化をもっとも強力に進めた国であるかもしれない。(高橋眞人)

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