米国のメディア信頼度が過去最低に、既存メディアもソーシャルも
※グラフは、既存メディアを信頼するアメリカ人の割合の推移(アクシオスとエデルマン)。
既存メディア半数未満、ソーシャルメデイアもたった27%
アクシオスとエデルマンによる最新の調査によれば、既存メディアへの信頼度は過去最低を記録した。今回初めて、既存メディアを信頼する人が米国民の半数に届かず、ソーシャルメディアへの信頼度も過去最低の27%に落ち込んだ。
「意図的に誤解させようとしている」56%
その一方、「ジャーナリストや記者は自分たちが知っていることが虚偽または大げさな誇張だと言って意図的に人々を誤解させようとしている」と考えている人は56%で、「ほとんどの報道機関は国民に情報を提供することよりイデオロギーや政治的立場を主張することに関心がある」と考える人が58%だった。
共和党支持者ではたった18%
大統領選の後に調査すると、この傾向はさらに顕著となり、既存メディアを信頼する人は共和党支持者でたった18%、民主党支持者で57%しかいなかったという。
中立性求める市民の期待が裏切られる
激しい大統領選が行われた2020年は、既存メディアやソーシャルメディア企業のほとんどがトランプ大統領を敵視するあまりにことごとく政治化、先鋭化し、トランプ氏側の主張をほとんど無視する反面、一方的に民主党寄りの報道に徹しただけでなく、トランプ氏やその擁護者約700人のアカウント停止に踏み切るなど、新旧含めたメディアがトランプ支持者や、支持者以外でもメディアに中立性や大局観を求める人々からの期待を大きく損なったものと考えられる。
信頼を回復するのは容易ではない
米国のジャーナリズム関係者や研究者はこの結果を深刻にとらえており、市民の信頼を再び獲得する努力が必要と考えているということだ。新しいバイデン政権は、ひとたび分断された「国民の統合」を重視する姿勢を打ち出しているが、メデイアもまた一度失った市民からの信頼を回復するのは至難の業だが、その努力を必死にしていかねば、産業の未来がないだろう。(高橋眞人)