メールマーケティングはもはや瀕死状態ではないのか?

1990年代から2000年代の我々は、新時代のコミュニケーションツールであった電子メールのやり取りに、わくわくしていた。いや数年前までは、自分のメールボックスに電子メールが届くことは、一般的に言って重宝なことだったと言えるかもしれない。

現代の受信トレイはプロモーションやスパムで一杯

ところが、現代の私たちの受診トレイは、もはや種々のプロモーションやスパムメールで一杯である。

あなたがメールボックスを触るとき、もっぱら何をしているか当ててみよう。不要なメールやジャンクメールを削除しているのだ。プロバイダに選り分けてもらっても、それでも大切なメールを誤って削除してしまわぬよう、馬鹿ばかしいチェックを行わざるを得ない。そして自分のメールボックスは、放っておけばどんどん容量が膨れ上がり、終いには、容量オーバーと化してしまう。

本当に重要なやり取りはSNSへ移行

しかも、本当に大切な家族や恋人や友人ともやり取りは、LINEなどのSNSで行われることとなった。こうして電子メールは年々、古臭く、面倒で、非効率なツールへとその地位を下げ続けている。

メールマーケティングの効果は年々低下

こうして、Eメールマーケティングの効用も、年を経るごとに低下し続けている。10年前、5年前、または2年前と同様に、メールマーケティングを行っている場合、その効果はますます低下している可能性がある。

もしあなたが毎日100通の電子メールを受け取るとするならば、企業からのプロモーション用のEメールやニュースレターのメールが無視されたり、一気に削除されたりする可能性がかなり高くなっている。

努力や工夫も時間の無駄に

企業からのEメールの開封率を上げるため、タイトルや送信元名、送信時間、本文などを工夫して目立たせることをメールマーケティングの専門家たちは説いてきたが、いまやその努力が実ることも期待しづらくなっている。

長年の習慣を変えたくない企業

現代でも、まだまだ多くの企業がEメールによるプロモーション活動に依存している。その方法を10年、20年と変えていない。せっかく先人たちが築いてくれた方法を変えたくないという気持ちもあるだろう。

プロモーションメールは忌避の対象

企業にとって、自動化しやすい点がメールマーケティングの良い点だ。ところが、膨大なメール送付宛先リストには、大抵、さまざまな属性の人々が含まれており、それらの人々に一律の内容のメールが送られることも、敬遠されやすい要因となっている。メールの購読解除や迷惑メール指定を行う人も多くなっている。そう、忌避の対象なのである。

そろそろ見直しの時期かもしれない

この古臭くなったメールマーケティングに頼っている企業は、そろそろその効果を真剣にレビューし、対策を検討しても良いのではないか。(高橋眞人)

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